バセドウ病手術体験記~入院期間と手術、退院まで~

 

ここまでの流れ(高速)

私はバセドウ病に罹り、薬により治療を進めていましたが、副作用(蕁麻疹)が激しいために服薬治療を中断せざるを得なくなり、手術による治療を選択しました~。

 

入院の日~手術前日まで

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さて、インターネットの情報をバセドウ病で手術をする方のほとんどが、前日からの入院となるようです。

 

しかし私は入院前の検査で、肺活量が標準よりも少ないことが判明し、術後の回復に支障を来す可能性があると指摘されたことから、手術の4日前に入院し呼吸リハビリを行ってからの手術となりました。

 

呼吸リハビリは「トライボール」という器具を使用して行いました。

これが結構いいお値段がするもので、お祭りとかで売ってそうな見た目なのですが、病院の売店で購入したところ3500円くらいしました。高いっ。

 

↓参考までに。

呼吸訓練器 トライボール

呼吸訓練器 トライボール

 

 

 

 

 

 

リハビリ以外では、他の入院患者さんと話したり、友人がお見舞いに来てくれたり、差し入れの漫画を楽しんだりして、あっという間に時間が過ぎて行きました。

 

病院食はある意味予想通りのクオリティでしたが、他の方からおすそ分けを頂いたり、家族・友人からの差し入れの塩辛・岩のりをふんだんにご飯にかけたり、味の薄さに文句を言ったりしてある意味ワイワイ楽しく食べていました。

 

そしてお風呂の時間は決まってはいるものの、自宅よりも湯舟が広いこともあり、制限のある生活の中でもそれなりの快適で過ごすことができていましたよ。

 

手術前に説明されたこと

手術3日前に執刀医と麻酔担当医より、手術についての詳しい説明がありました。

特に重要だと思った点を紹介します。

 

(1)今回の手術では、甲状腺を小指の先くらい、2~4gくらい残す(亜全摘)。

 →仮に甲状腺を全摘出した場合、バセドウ病の再発はしないが、一生甲状腺ホルモンを補う薬が必要。また甲状腺の裏にある副甲状腺への血流阻害により低カルシウム血症で手指がつっぱったり動かしにくくなるリスクがある。

 →執刀医の経験では、亜全摘で再発した人は0人。メリットとデメリットのバランスを考慮し亜全摘を選択。(再発0人ってのがすごい。)

 

(2)甲状腺よりも幅を広めに切開する。

 →首回りには神経や血管が集中しており、難しい手術となる。万が一甲状腺周辺が見にくく、皮膚を裂いてしまったりすると傷口がケロイド化する可能性があるため、余裕を持って切開する。

 

(3)手術は全身麻酔で行う。術後は一晩麻酔がかかったまま、翌日朝まで眠りっぱなし。翌日経過観察をしながらSICU→HCU→大部屋に移動する。

 SICU・・・術後回復専用の集中治療室。

 HCU・・・準集中治療室。

 

余談ですが、私の執刀医は県内でも敏腕で評判な先生であり、手術後に知ったのですが、「喉と胸のプロ」という異名をお持ちの方でした。また、麻酔医は、ベテランの先生と研修医の先生2名で行っていただけるとのことで、特に手術に不安はありませんでした。

 

手術前日は24時から絶食になるため、浅ましくも24時までおやつを食べたり、タピオカミルクティーを飲んだりしていました。w

 

 

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(病棟からの夜景。)

 

手術当日。

午後からの手術に対し朝6時から絶食(食事NG)絶飲(水を飲んではいけない)。

 

ここからは点滴での栄養補給になりますが、お腹がすきすぎているにも関わらずグルメガイドを見て空腹に拍車をかけるという謎の行動をしました。

これもバセドウ病の症状の1つかもしれませんね・・・(違います)

 

また、午前中に手術用のストッキング、手術着への着替えを済ませました。

手術の15分前に看護師さんよりお手洗いに行くよう声掛けがあり、血圧などを計ったのち、歩いて手術室に向かいます。

ドラマや漫画の場合、ストレッチャーに寝かされて手術室に向かい、家族と目を合わせてうなずきあったり「私、がんばるよ・・・!」とかいう声掛けがあると思うのですが、実際は「んじゃ、行ってきます♪」みたいな、あっさりした別れになりました(笑)

 

そのまま手術室内に入り、ベッドに寝そべり、さまざまな機械をつけてもらい、いよいよ手術開始となります。

全身麻酔用の人口呼吸器?を取り付けられ、深呼吸を繰り返すとあっという間に眠りに落ちました。

 

 

手術翌日

手術翌日は、事前の説明通りSICUで目覚めました。(実は術後にも一瞬だけ目覚めてるんですが、別記事にしました)

SICUは手術後の人専用の集中治療室で、なぜか地元のラジオが大音量で流れているのをぼーっとした意識の中聞いていました。

 

ここで、一番不快だったのが麻酔用のチューブです!!

ただでさえ、喉がおえっとなりやすい私・・・。取って欲しくてたまりませんでした。

というか、麻酔で朦朧としていたのもあり、自分で取ろうとしてしまい、身体抑制されてしまいました。

 

そして、朝8時くらいでしたでしょうか。執刀医にチューブを取ってもらい、水を飲む練習をしました。

他にも色々機械はついていたのですが、チューブが入っているといないとでは不快感が全然違うもので、「喉って大事だな…」と思いました。

 

今日一日は喋らなくていい(というか喋りたくても喋れない)と言われ、看護師さんとのコミュニケーションは身振り手振りと、単語レベルのかすれ声になってしまいましたが、看護師さんは慣れているようで、すぐに言いたいことを分かってくれるのがありがたかったです。

 

しばらくしてHCUに移動し、1日過ごすことになりました。HCUでは1日中寝っぱなしで、時々血圧と体温を測る以外は特にやることが無かったですね~。

夜中、なんとなく全身がつっぱる感じがあったのですが、看護師さんに相談したところカルシウム剤を点滴してもらい、なんとなく眠ることができました。

 

手術後2日目

尿道カテーテル、足のむくみを取るマッサージの機械等を取ってもらいました。

これで体についているものは、傷口からの血液や体液を取るドレーンと栄養剤の点滴のみになり、歩いて大部屋に戻りました。

見舞いに来てくれた母と一緒にお昼ご飯を食べていたのですが、やはり前日のような体のつっぱりを感じ、さらに症状が激しくなってしまいます。

執刀医曰く、甲状腺の手術をした後では、副甲状腺からのカルシウムの供給が不安定になってしまい、特に私の年代では体がこわばる症状が出る人が多いとのことです。

ピーク時は、全身が硬直して力が入り、痙攣、歯ぎしりが止まらなくなっていました。

大体3~4時間くらい続いたでしょうか。

体はおかしくなっていても意識ははっきりしていますから、「一生このままだったらどうしよう・・・(泣)」と、とても不安でした。

カルシウム剤を点滴、服用の両方で摂取し、薬が効いてくると同時に疲れが出たようで、ぷっつりと糸が切れるように眠りに落ちました。

 

 

 

 

手術後3日目

朝起きると、昨日の体のこわばりが嘘のように消えていました。また、かすれ声ではありますが、普通の会話ができるくらいには回復していました。

執刀医から改めて症状についての説明があり、しばらくはカルシウム剤、ビタミン剤を服用することとなりました。

ただしこれはご飯が徐々に食べられるようになり、自分でカルシウムを摂取できるようになり、副甲状腺の機能が安定すれば量を減らしていけるとのこと。

少しでも回復すべく、売店等でカルシウム入りのおせんべい、クラッカーなどを食べるように指示がありました。

この日、ドレーンと一緒ではありますが、久しぶりのシャワーとお風呂に入ることも出来ました。

 

術後4~6日目

術後4日目にはドレーン・点滴も取れ、リハビリ中心の生活になり、どんどん回復していきました。

点滴が取れた後は、歩行訓練で他の病棟まで歩いたりなど、結構自由に過ごしていました(^_^)/

理学療法士さん曰く、ホルモンを抑える薬を飲んでいないのに、脈拍が安定しているとのことで、手術の効果を感じることができました。

今流行りのポケモンGoもダウンロードし、院内を散歩したり、食事をしたり、友人と面会もできました。

そして術後5日目で退院許可が出て、その翌日、入院6日目にして晴れて退院となりました~。

 

ちょっと駆け足でしたが、11日間の入院生活を紹介しました。

 

後遺症編につづく。

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▼おすすめ書籍「心の冷え取り」

 

この「バセドウ病のこと」シリーズを書くことになったキッカケは、インターネットでとあるお医者様のブログに出会ってからです。

 

バセドウ病の発生原因は不明と言われていますが、入院中に出会った同じ病気の患者さんとよく話していると「いつも笑顔だけど、どこかしらムリをしている女性」「仕事や家族のために頑張り続けている女性」が多いように感じました。

 

そして私自身も、どちらかというと自分の限界を超えて無理をしたり、人の顔色を窺ったり、どこかしらにひずみを抱えていたと思います。そして、身体から不調のサインが出ても、忙しさを理由にそのサインを無視したりもしていたのです。

 

私は、バセドウ病が治ったところで、これまでと同じ生活をすれば、また病気にかかるかもしれないし、それは嫌だなと思いました。

 

そういったタイミングで、内科医の小室朋子さんのブログ「女医とも子の診察室」をよく読んでいました。とも子先生のブログは、女性に向けて根本的な生き方の見直しや、自分でも気づいていなかった悩みなどを気付かせてくれる記事も多く、ふとした時に自分を見つめるきっかけとなりました。

 

手術をしてから2年以上が経過しました。今の私は、バセドウ病をキッカケに生き方をがらりと変えて、毎日の生活を整えて、やりたい仕事をして、穏やかに暮らしています。それもやはり、とも子先生の文章と出会えたことが原点だったかな、と感じています。

 

小室朋子先生の「心の冷えとり」は、女性の生き方を見つめなおしたり、本質的な考え方を授けてくれる素敵な一冊です。落ち着いた文体で、全ての年齢層の方にお読みいただけると思います。内科医の先生が書かれていますから、変な精神論とかスピリチュアル方向に振れていることも無いですし、スイスイとお読みいただけると思います。

 

よろしければぜひご覧になってみてください。

生きづらさを抱える女性が一人でも減ることを祈っています。