【プロモーターさん向け】推しバンドがアジアから来日、盛り上げる作戦は?ブロガーと協力するのがアリな理由

 

アジアのバンドの来日公演盛り上げるには?ブロガーを活用したら良いんじゃないか説アイキャッチ

 

こんにちは。中村めぐみ(@Tapitea_rec)です。今日は、「アジアのインディーズアーティストが来日する際、もっと企画を盛り上げるために必要なのは、ブロガーとのコラボレーションでは?」という件について、私の考えをお話ししますね。

この記事はこんな方に読んでもらえたらと思います!

  • 現在、アジアのインディーアーティストのプロモーションに関わっているプロモーターさん
  • アジアのインディーアーティストを呼んでやりたいイベントがある方
  • アジアのインディーアーティストのリリースを手掛けるレーベルさん
  • アジアの音楽が好きなライター、ブロガー勢

 

それでは本編へ。

 

 

 

 

自己紹介(早送り)

越境音楽ライター・ブロガーの中村めぐみです。現在、とあるコンサルティング会社で働く傍ら、ライター業をしています。二足のわらじです。

 

2016年に台湾のバンドにハマったことがきっかけで、台湾の音楽シーンにまつわるブログ記事を書き続けていたところ、ライターのお仕事を頂くようになりました。

 

主に担当する記事のジャンルは、インタビュー取材・記事の作成です。また、フリーライターとしてJ-POPシーンのメジャーアーティストさんへインタビューさせていただいた経験もあります。

 

来日するアーティストからご依頼があれば、ブログ上でプロモーションの協力もします。

 

また2019年からはとても名誉なことに、台湾の音楽プラットフォーム TAIWAN BEATSとコラボレートして一緒にプロジェクトを展開しています。

 

最近担当させてもらった案件としては、台湾高雄のバンド・Elephant Gymの来日インタビュー(Qetic掲載)や、同じく台湾高雄のシンセ組04のインタビュー(当ブログ自主企画)があります。

 

とはいえ、音楽シーンで働いた歴自体がまだ浅く、毎日のように取材したり、記事を書いている方には及びません。そのため、本稿はあくまで、「アジアの音楽好きのライターの立場から、もっとこうしたらいいんじゃないかな?と思う」という、一つのご提案としてお読みいただけましたら幸いです。

 

アジアのインディーズバンド・アーティストの来日プロモーションの現状

アジアのインディーズバンドが来日する際に、プロモーションの企画・手配まで手が回っているプロモーターさんはどれほどいらっしゃるでしょうか?

 

「インタビュー記事の自主企画などばりばりやっています!」という方から、「なかなか手が回らずTwitterの告知のみ」という方まで、さまざまな方がおられると思います。

 

ここでいうプロモーションとは、以下3点を満たすものです。

  • 来日とセット
  • 来日ライブの告知として機能するタイミングで公開
  • しっかりとした「コンテンツ」として機能する内容

 

つまり、来日プロモーションとして定義づけられるのは、Webメディア上でのニュースリリースや、テレビ・ラジオなどのメディア露出などが挙げられます。

 

たとえば、最近の事例では、多くのアジアのアーティストが出演する東京・青山のライブハウス『月見ル君想フ』の運営するレーベル、Big romantic recordsのオウンドメディア上で、ニュース記事がリリースされたり、アーティストへのインタビュー記事が掲載されたりしています。

 

また今年1月にシンガポールのアーティストが来日した際には、主催バンドの方が中心となってカルチャーメディアへインタビューを寄稿したり、ラジオ出演の手配をしたりした事例もありましたね。

 

ここから見えるのは、全てのアーティストが来日の事前プロモーションを受けられるわけではないが、数年前の状況と比較すると、主にインターネットを中心として、露出や情報が増えてきていると言えます。

 

そこで次のステップとして考えられるのは、(もし本人たちが望むなら)できるだけ多くのアーティストが事前告知となるプロモーションや、インタビューを受けられるよう、日本国内の状況を整えていくことではないでしょうか?

 

【補足】
来日の事前プロモーションが絡まないケースでは、Studio Mushroom Ironさんがインディー・メジャーを問わずタイのアーティストへのインタビューを展開したり(すごい)、タイ人になりたいよしださんがLukpeachにインタビューをしたりなどの事例もありますね(すごい)。タイ勢つよい。

 

 

 

スキル、注目度、予算不足ー私が感じる課題

それでは、もっと多くのアーティストがプロモーションを受けるために乗り越えるべき課題は、何でしょうか?

 

私がこれまでに関係者の方にヒアリングした内容をもとに、2019年現在、アジアのアーティストを受け入れる側が抱える課題を、3点にまとめてご紹介致します。

 

課題1:人材(スキル、時間)

1つ目は、来日企画にかかわるプロモーション人材の不足(スキル・時間)の課題です。

 

比較的工数の少ない「Webメディアへ来日ニュースリリースを送る」という取り組みでも、腰を落ち着けて取り組む時間が捻出できない方も多いのではないでしょうか。来日インタビューの自主企画なども同様です。

 

(自分で全部やってしまうプロモーターさんがいますが、すごい)

 

課題2:(まだ)メディアの注目を集めにくい

2つ目に考えらえるのは、メディアの注目をまだ集めにくいという課題です。

 

特にアジアの場合は、たとえ本国で人気のバンドでも、来日経験が少なめだったり、話題性が見出しにくい場合、なかなか日本国内のメディアの注目があつまりにくいケースがあります。(これはメジャーシーンでも同様ですね。)

 

そのためプロモーションのコンテンツとなるようなインタビュー取材を受けにくいことが挙げられます。

 

課題3:予算

3つ目は、予算の課題です。プロモーションの手段として有効なのは、メディアの広告記事枠を買うことです。

 

しかし、少し調べればわかることですが、たとえ4大メディアと比べて比較的安価に出稿できるWebでも、広告記事枠の価格相場は、数十万円レベル。インディーズの規模感で購入するのは、あまり現実的ではない金額ではないでしょうか。

 

以上、アジアのアーティストの来日プロモーションを、次のステップに進めるためにクリアすべき課題をお伝えいたしました。それでは、これらの課題を解決するにはどうすればよいのでしょうか?

 

私の提案:音楽ブロガーが、プロモーターさんとコラボレーションして、来日直前インタビュー記事を作成・掲載する

アジアのインディーズアーティストが来日する際のプロモーションの現状と、課題を整理してお伝えいたしました。

それでは、具体的にどうすれば、アジアのインディーズアーティストのプロモーションのレベルが次のステップに進めるのでしょうか?

 

私からご提案したいのは、
「コンテンツを作れる人材<<ブロガー>>とコラボレートして、完成度の高いインタビュー記事を作って、みんなで拡散を頑張れば良いのでは?」という取り組みです。

 

インターネットのプロモーションの選択肢

ブロガーとコラボレーションするメリットについて触れる前に、インターネットを使ったプロモーションにはどういったものがあるか、簡単に触れます。

 

インターネットを使ったプロモーションとは、たとえば以下のようなものがあります。

  • 宣伝動画を作って拡散(動画)
  • Webメディアやラジオへニュースリリースを送って、担当者の目に留まれば紹介される(メディアへのアプローチ)
  • Twitterでライブ告知をする/Facebookで広告を出す(SNSの活用)
  • インタビュー記事が掲載される(カルチャーメディアなど)

 

この中でもっともハードルが高いのは、インタビュー記事の掲載です。

インタビュー記事は工数がかかりますので、Webメディアの編集部でインタビュー記事を書いてもらえる枠(取材の時間を取ってもらえる、ライターの時間を確保してもらう)に入るのは、そう簡単とはいえません。

 

しかも、アジアのアーティストならば言語の問題や、事実確認などに時間がかかるケースもあり、たとえ興味があったとしても、そう簡単に対応しきれないのが現状かと思います。

 

そこで注目されるのはアジア音楽ブロガーの力です。

 

音楽ブロガーって何を考えてるの?

音楽ブロガーとは、その名の通り、音楽が好きで音楽ブログを書いている人材です。

 

学校や会社で、周りに同じ推しを持つ友達や同僚に出会えないフラストレーションを、空いた時間に好きな音楽ブログについて文章をしたため、ひっそりと公開することで発散する…続けていれば同じ推しを持つ人と出会える日を信じて……※イメージです。

 

現場でばりばりとがんばっておられるプロモーターさんからすると、ブロガーがなぜそこまでして文章を書くのか想像がつきにくいかもしれません。

 

その答えを突き詰めていくと、「ただ、好きだし、向いているから」です。

 

そういった人材へ、来日の手配が整った段階で、インタビュー取材と記事の作成を依頼し、コンテンツを作り込み、来日前にブログへ記事が掲載されることで、プロモーション用のコンテンツとして機能させるのです。

 

またブロガーとしても記事コンテンツが増え、SEO対策にもつながるため、双方にとってメリットがあります。

 

「え・・・でもブロガーにインタビューしてもらうのはちょっとなー・・・プロがいい・・・」と思うかもしれません。

しかし、もう一度考えてほしいのです。

「華やかさ」と「実利(メリット)」、ほしいのはどちらかということを・・・。

 

 

 

ブロガーを活用するメリットー華やかさと実利、どちらが重要?

アジアに限らず、インディーズアーティストや、プロモーションを手掛ける方から聞かれるのは、「メディアに載りたい」というご希望です。

 

たしかに、知名度のあるカルチャーメディアで取り上げられれば、華やかで箔もつきますし、周りからの扱いも変わるかもしれません。

 

もちろんその想いを否定するわけではありませんし、拡散力を持ったカルチャーメディアと比べれば、たしかに「個人ブロガーの影響力は影響力は小さい」と感じられるのも当たり前です。

 

ブロガーへ広告記事を依頼するのは当たり前の時代

 

しかし、音楽以外の業界へ目を向けますと、ブロガーが広告記事を書くのは当たり前となっています。

 

たとえば、台湾ブロガーとしてトップのアクセス数をあつめる「明日はもっと遠くへいこう」の前原さんは、オンライン中国語レッスンの広告記事や、台北のゲストハウスの広告記事を執筆するなど、多くの広告案件に携わっています。

 

個人ブロガーに広告記事を依頼するトレンドができた背景を語りだすと、それだけで一本記事が書けてしまうくらいのテーマになるので割愛しますが、アクセス数のメリットのほか、「そのブロガーが書くこと」で価値が生まれるなど「個人発信の情報が重視される風潮になった」というトレンドを反映した結果と思われます。

 

それでは、アジアの音楽シーンという括りで、ブロガーへ広告記事を依頼するメリットはどのようなものがあるのでしょうか?具体的に3つご紹介します。

 

メリット1:コンテンツを作るスキルがある。しかも味方になってくれる

ブロガーは、いつもコンテンツについて考え、好きな音楽のことならいくらでも書ける!という人材です。アジアの音楽というまだニッチな分野ならなおさらです。

 

もちろんコンテンツの練度は人によるため、しっかりと見定める必要がありますが、「この人のコンテンツ(記事)、なんだか好きだな」と思ったこともあるでしょう。

 

少し話は反れますが、私がお世話になっている会社(インターネット関係のコンサルティング企業)では、「お客様への思い入れや、商材への愛や知識は、必ず納品物の完成度に影響する」と言われています。

 

つまり、アマチュアのブロガーでも、本気を出せば、人の心を掴むコンテンツを作るのは可能です。

 

ではなぜ、プロの音楽ライターにならないの?と思うのかもしれません。その理由はさまざまですが、音楽愛に関しては、アーティストを招待するプロモーターさんと変わりません。

 

得意分野や、発信の仕方が違うだけです。

 

だからこそ、音楽ブロガーの力を活用することにメリットがあります。

 

メリット2:独自のファンベースがある

2つ目のメリットは、独自のファンベースを持っていることです。

たとえば、タイ音楽について取り扱っているブロガーさんならば、タイ音楽好きの読者さんがあつまることでしょう。そのような特化型ブログへ関連するコンテンツが掲載されることにより、「もともとタイ音楽が好きな人」へ、来日アーティストの情報や魅力を直接伝えられるのです。

 

メリット3:Webメディアへ広告記事を出稿するより安価

3つ目のメリットは、ブロガーに記事の作成を依頼する場合、Webメディアの広告記事枠を買うよりも安価となる傾向があることです。

 

人によって価格感が異なるため、一概には言えませんが、5,000~8,000文字の広告記事の場合、数千円~数万円程度が執筆の相場となります。

 

このことから、ブロガーとのコラボレーションは、Webメディアの広告記事枠よりも安価に展開することが可能と言えます。

 

以上、ブロガーの力を活用するメリットをお伝えしました。

他にも、ブロガーさんによりますが、独自の人脈を持っていたりブロガーが将来的にライターに出世した場合、優遇されるケースがあるなどのメリットがあります。

 

事例紹介「シンセ組04」来日プロモーション

さて、ここまで、アジアのアーティストの来日プロモーションにおいて、ブロガーの力を活用するご提案をしましたが、実際にプロモーションとして効果が出るのでしょうか?

 

インターネット全体のトレンドが動画発信へ移行した昨今では、活字コンテンツの需要は相対的に下がりました。

 

それでもなお、私は、たくさんの情報を伝えるのが可能な「記事」は一定の役割を果たせると考えています。なぜなら、実際に、ブログに記事を掲載し、関係者の皆さんに拡散協力をしていただくことで、多くの方に来日ライブ情報を知ってもらえた事例があるからです。

 

先日、台湾のテクノポップグループシンセ組04へインタビューをした際の事例をご紹介します。

 

www.tapiocamilkrecords.jp

 

こちらは、来日前にSkypeでインタビューを行い、見せ方なども含めてアーティスト側と協議を重ねながら作りこんだ記事です。

 

「ここまでして、結果が出なかったらどうしよう…」と不安な気持ちもありましたが、蓋を空けてびっくり。

 

実際に来日ツアーの現場に行ったところ、「インタビューを見て来日を知りました」「インタビュー読みました」とのご感想をお聞かせいただけたのです。

 

それだけではありません。この記事を、イベンターさんやライブハウスの方に拡散していただくことで、より多くの関係者様の目の触れるところとなりました。

 

つまり、来日インタビューと、告知の力を組み合わせることで、本当にアジアの音楽に興味がある方に届けることは可能なのだな、と感じました。

 

来日前インタビューがフォローアップコンテンツになる

 

また副次的な効果もあります。それは、ブログ記事がライブの後のフォローアップコンテンツとして機能することです。

 

当ブログはアクセス解析を導入しています。上記のシンセ組04の記事に対して、アクセスの動向を確認したところ、シンセ組04のライブの後、Google/Yahooといった各種検索エンジンからのインタビュー記事へのアクセス流入が確認できています。

 

ここから読み取れるのは、「ライブを観てアーティストに興味を持ったお客様は、インターネットで検索をしてより多くの情報を得ようとする」という行動です。

 

そこで、検索したユーザーに対し、ブログ記事(コンテンツ)があることで、次回の来日につなげられたり、お客様の記憶に残る素材として機能させることが可能と言えます。

 

つまり、ブロガーがアーティストやプロモーターさんと一緒にコンテンツを作るのは、「実利を取れる」一石二鳥の施策と言えるのです。

 

とはいえ、ブロガーも万能ではありません。そこで、ここからは、ブロガーに依頼する場合に、このような点をフォローしてもらえると、より効果が高まるという点をお伝えしていきます。

 

 

 

ブロガーを最大限活用するために。実利を取るなら何が必要?

ここからは、ブロガーにインタビュー案件を依頼する場合に、ここに配慮してもらえると助かるというものを私の経験からお伝えしていきます。

リードタイムは2~3ヵ月

これは私見ですが、来日のおおよそ2~3か月前に打診をいただけると良いと思います。記事の作成・公開に必要な最短期間をブレイクダウンすると、このようになります。

 

【スケジュール】
打診~案件決定まで 1週間
取材~初稿提出   2週間
初稿提出~修正   1週間
Webへの流し込み、レイアウトチェック 1週間
公開 来日 1~2週間前

 

実際、これまでにいくつか打診があった中でお断りした案件は、すべてリードタイム不足でした。(『予算が合わない』でお断りしたことはありません)

 

来日という貴重な機会にあたり、クオリティを上げるためにはやはり一定の期間が必要なことをご理解いただけますと大変幸いです。

 

一緒に拡散お願いします!

よほど大きなPVをあつめられる場合を除き、個人ブロガーの拡散力はそれほど大きいものではありません。そのため、拡散の手配を、プロモーターさん側にもご協力いただけますと、とてもとてもとても助かります。

 

たとえば、出演を予定しているライブハウスのTwitterなどで拡散してもらえますと、「ライブハウスのファンの方」にリーチし、集客につなげられる可能性がより高まるでしょう。

 

プロモーターさん自身がTwitterをお持ちだったり、アーティストのTwitterアカウント、Facebookアカウントがある場合はなおさらです。

 

私もブロガーからライターになりましたが、両方の立場を経験することで、ブログの拡散力不足は痛いほど承知しています。だからこそ、現場に強いプロモーターさんのお力をお借りしたいのです。

 

まとめ

いかがでしょうか。今回は、アジアのインディーズアーティストの来日プロモーションの状況や、もう1ステップ先に進めるための施策のご提案をお伝えしました。

 

最後に言いたいのは、
音楽ブロガーは、本当に音楽が好きで運営しています。プロモーターさんやアーティストさんと一緒にアーティストの来日公演を盛り上げられたら嬉しい!という想いを持つ人ばかりです。

 

現場で経験の豊富なプロモーターさんと、音楽愛に溢れるブロガーさんがコラボすることで、新しい流れが発生するのを、神奈川県の隅っこより祈っています!

 

 

 

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