(画像引用元:谷水车间的小站 (豆瓣音乐人))
ガールズバンドって良いよね。若い女の子がワイワイしてるし。青春とか失恋の切なさを歌ってるし。それだけでこっちもニッコリしちゃうよね。けいおん!
そんな淡い期待をめった刺しにするガールズバンドに出会ったので紹介していく。
彼女たちの名はDream Can(谷水车间/Gǔshuǐ chējiān)。
2014年から上海市を拠点に活動している。
ご存知の方も多いとは思うが、上海は首都北京よりも経済規模が大きい。
なぜなら、上海はアヘン戦争後に貿易拠点として開港したことをきっかけに、イギリスをはじめとした列強の進出拠点として役割を担い、その後変化を遂げながらも金融・貿易都市として発展し続けてきたためだ。
つまり、経済的には日本における東京のような立ち位置である。
このような都市でありながら、ロックをとりまく環境は整っているとは言えない。人口はおよそ2400万人にもおよぶが、ライブハウスは片手に収まるほどしかないのだ。
(ちなみに東京都の人口は約1300万人に対し、50件以上ものライブハウスがある。)
こういった背景もあり上海といえばこのバンド~!という存在は育ちにくい状況だったようだ。
だがDream Canはかなりのポテンシャルがあると言える。
どのようなバンドなのか早速チェックしていこう。
Dream Can(谷水车间/Gǔshuǐ chējiān)
メンバーは阿惹(Ā rě)/Gt&Vo.,璨璨(Càncàn)/Bass,淇钰(Qí yù)/Drの3人。
2014年に結成以来精力的にライブ公演を行い、上海のみならず北京、武漢のライブハウスにも活動の幅を広げる。
一見した限り、普通の女の子のようでよく見ると顔立ちも整っている。地方から出てきて八王子あたりの大学に入学したかような印象である。サイゼリアのドリンクバーを片手にコイバナしてそうだ。うむ、お姉さんとしては好感度が高いぞ。
2016年には同じく中国のChinese Footballのコンピレーションアルバム「Chinese Football & Friends - Come Together 」にも参加しているようだ。
2017年10月には来日ツアー公演も実施。関西のライブハウスを巡回したとの情報も得ている。
そんな彼女たちの音楽性はどのようなものだろうか?
ドリーミー、ただし悪夢のほう
まずご覧頂きたいのは、こちらの動画だ。
自己紹介のくだりを簡単に翻訳する。
阿惹:皆さんこんにちはっ!
一同:フフフフフ…
阿惹:私たちは
阿惹:ギターの阿惹です。
淇钰:ドラムの淇钰です。
(以下略)
以下、kill the manの1番の歌詞。
Kill the man
Saturday morning I kill the man (土曜日の朝、彼を殺したの)
I wish he was satisfied (自殺だったらよかったのになぁ)
no matter how I love him (私があんたをどんなに愛していたか)
but I still kill him without reason(でもね、ワケなんてないけど ただ殺したの)
猛獣か何かを心に飼っているのだろうか?これではDreamというよりNightmareではないか。
今思えば、自己紹介パートでは挨拶した直後に謎の爆笑が起きたりなど、すでに狂気の片りんは見えていた。 ぱっと見の風貌は素朴な印象で、音楽性で狂気を感じさせるこういうバンドが一番こわいのだ。
でも、ありきたりじゃないところが、カッコイイじゃん。
また、こちらのライブ動画では攻撃的なフレーズも見られるが、ギリギリ耳に優しいところでバランスを取っているとも感じる。kill the manとの歌い分けも良い。念のため音量に気を付けて再生していただきたい。
サイケドリームロック、ただし悪夢、中華風味。
子供のころに父の車でかかっていた初期のThe Beatlesを思い出した。
好き嫌いは分かれそうだが、私は良いと思った。
親日の一面も
先ほども触れたが、2017年10月には来日ライブ公演も行っており、Twitterなどでも話題となっていたようだ。
また2018年5月には日本で撮影したプロモーション・ビデオもリリースされている。
日本の風景でありながら、異国情緒を感じられるところも面白いので是非ご覧いただきたい。
映画などで「欧米から見た日本」が舞台となっているのものはたまに見かけるが、中国から見た日本はこのように映るのだなと面白く感じた。
いかがだろうか
さいごに、少し昔話にお付き合いいただきたい。
私たちが高校生だったころ。
Zipper系のオシャレなクラスメイトはチャットモンチーを聴いていた。ギャルの友達はカラオケで浜崎あゆみをカラオケで熱唱していた。私はヴィジュアル系のライブでヘドバンしていた。今は昔である。
さて平成最後となった2018年。
日本国内で活躍しているガールズバンド、あるいは女性歌手といえば、どのような名前が記憶に残るだろう?
SILENT SIREN?ライブが超盛り上がるらしい。
SHISHAMO?さわやかだ。
yonige?大胆だ。
TAWINGS?退廃的だ。
ハルカトミユキ?鬼才だ。
大森靖子?超歌手だ。
音楽好きのリスナーはもはや量産型のガールズバンドブームには飽きはじめている。素で突き抜けている個性を持ち、一言では括れない存在こそが第一人者となり、多くの人の心に深く届く。
そういった視点においても、今回ご紹介した Dream Can(谷水车间)は、ただのガールズバンドで終わらない存在感を持っている。
いま、アジアのアーティストが面白い。
Dream Can(谷水车间)公式情報
weibo:https://www.weibo.com/u/5322467010
douban:谷水车间的小站 (豆瓣音乐人)
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