(写真中央が新道さん/画像引用元:CROCODELIA Official Facebook)
Interviewer:Tapioca Milk Records Megumi N(gu-chan)
こんにちは、Tapioca Milk Recordsです。
前編では台湾のアンダーグラウンドシーンにてご活躍する新道さんへ、これまでの経緯と現地での音楽活動への想いを伺いました。
さて、前編まででもカッコよく完結しますが、現地取材へ行ってそうお行儀よく引き下がるわけにはいかないのがタピレコ編集部。
後編はもう少し深いところをお聞きしてきました。
最初の質問は「嫌いなバンドいますか?」
その他恒例のちょっと危険な質問も次々と繰り出しています。
この記事が台湾エンタメファンならびに台湾インディーズ音楽関係者の目に留まらないように祈ります! #台湾 #台湾インディーズ #拡散希望
それでは本編へ。
- いい子が多いね、不良でいいじゃん
- 「日本人ブランドを活かそう」なんて思うわけない
- ライブハウスにも、ぜひ
- 今が一番楽しいよ
- おしらせ 「共犯結構 Accompliles」来日ライブ公演
- まとめ
- 追記(2018.7.28)
いい子が多いね、不良でいいじゃん
ーー実際現地で活動していて、嫌いなバンドっています?
新道:嫌いなバンドってわけじゃないけど「いい子」が多いなって思う。実際のところインディーズの文化は戒厳令解除後に始まった比較的新しいもので、手本になるようなハチャメチャなロック・アイコンがいないからかなぁ、と思うけど。
ーー台湾音楽のメインストリームといえばポップスと恋愛ソングですよね。安定してチャートインするバンドといえばやはり五月天(Wǔ yuè tiān)がメインで…。
新道:五月天もさぁ…べつにかっこよくはないでしょー?
ーーえええ…(笑)台湾エンタメファンに刺されますよマジで……
新道:あとは、日本以上にはみ出すことを嫌う傾向もあるかも。
ーーなにかとおおらかな印象もあるのですが。
新道:個性のある人はいっぱいいるね。けど、服装とか外見で奇抜なオシャレを楽しんでる人はわりかし少ないよね。
ファッション的にもアイコンになっている人がいないから、みんなが目指すところが五月天ひとつになっちゃうんじゃないかなぁ。あとは日本や欧米のシーンと比べれば「デストローイ!」みたいな感覚をもったバンドも少ないよね。
ーーダークな世界観のバンドもあるけれど、いい子が「ダーク」を表現している。
新道:バンドやってる子にはぜひ不良になってステージを表現してほしい。人を刺すとか、カツアゲするとかではなくて。世の中にアンチ! Search & Destroy!!みたいな精神性。
ーーぶっ潰してやるぞー!と。そういうジャンルのバンドでは、今は無妄合作社(Wú wàng hézuòshè)がエースだと思いますが…
新道:そうだね。無妄合作社のベーシストを中心とした「愁城(Chóuchéng
)」という一つのグループがあるんだけど、彼らはメインストリームに対してのアンチテーゼが前面に出てるから俺大好き。
ーーフェスで無妄合作社を見たのですが、お客さんが会場からはみ出すくらいまで集まっていてかなり盛況していました。いま台湾インディーで大流行しているシティポップやポストロックに対抗できるバンドが出てきたんじゃないですか。
新道:ぜひそうなってほしいね。「いい子ちゃんではないもの」に憧れる気持ちにも国境が無いじゃん。エルビスプレスリーだって、ビートルズだって、セックスピストルズだってそうじゃん。
ーーかつて日本の大人たちはビートルズなんて聞くなと怒っていたそうですが、そんな彼らが今はもうレジェンドですもんのね。
「日本人ブランドを活かそう」なんて思うわけない
ーー新道さんってわかりやすい「日本のカッコいいお兄さん」ですよね。そういった日本人ブランドが台湾での音楽活動においても影響を及ぼせると思うことはありますか?
新道:あのさぁ…
ーーはい?
新道:なんかダサくない?「うちは日本人がドラマーで~」とアピールするのって。自分はそういうつもりでは音楽をやっていないし、今仕事で台湾に住んでるから、みんなと仲良くしたいしフラットに話したいから中国語を勉強しているだけ。
ーー …もしそういう話になったら「日本人に優しい国とはいえそこに甘んじてるのってミュージシャンの生き様としてどうなんですかあ^-^」というイヤミを隠し持ってたんですけど、成立しませんでした…残念…
新道:日本人の立場から思うところはあるよ。これは俺の感想だけど、まずはロックフェスにAV女優を呼ぶのやめろと言いたい。結局日本の文化ってAVかよ、と。
ーー台湾の男子は日本のAV見ますからねぇ。
新道:俺嫌いなんだよね。
ーーAVが?
新道:気持ち悪いじゃん。だってあんなの秘め事でしょ?他人のセックス見てさぁ。自分がやるならともかく。
ーー爆笑 (カメラ落下、一時中断)
ーー中国に「AV大久保」というバンドもいるそうですし、日本にはそういうイメージを持たれがちなのかもしれませんね。
新道:あとはこれ書いてもらっていいんだけど。びっくりするのがさぁ…。台湾によくライブしに来るバンドがいてお客さんが10人とか20人とか入ってるんだけど。そいつらのホームページを見てみたら「我々台湾でライブ出演したら、オーディエンスが300人くらい来てくれました!」って書いてるの。どんだけ盛ってんだよ!?っていう。まぁ確かに海外だからさ。その現場を目撃した日本人もほとんどいないから、盛れるっちゃ盛れるんだけど。
ーーなんていうバンドです?
新道:記事に固有名詞は出さないで欲しいけど……V………
--マジですか(※ 後日確認したら、本当にそう書かれていました)
新道:そういう意味では、本当にカッコイイ日本のバンド文化っていうのがまだ伝わりきっていないのかなって思う。今は誰でも台湾に来てライブができる時代になったから、センスの良いイベンターさんやカッコイイバンドが台湾に進出しやすくなった一方で、逆に行動力がある人は誰でも台湾でのライブに挑戦できるようにもなったよね。それに一度実績ができると、フェスの主催者も呼びやすくなるから、同じバンドが何度でも台湾に来るという現象が起きる。
ーー海外でライブへ出演した、というだけで実績になりますからねぇ。
新道:俺は日本のもっとカッコイイバンドを台湾に呼べるし、台湾のバンドが日本でライブしたいんだったら、いくらでもサポートすることは可能といえば可能。でも自分は仕事もしてるし、時間を取られるじゃん。だからカッコいいと思えるバンドだけ。今回も「共犯結構 Accomplices」の来日ライブを企画したんだけどね。あいつらカッコいいから。
※本編の最後に来日情報をお知らせします。
ーーいいと思ったものに携わりたいということですね?
新道:まぁ、お金にはならないけどね。
ーーお金にならないことをするというのは何か原動力があるんでしょうか。
新道:だからまぁ、あまりやらないよね(笑)でもカッコいいから、日本のお客さんにぜひ見て欲しい!ただそれだけ。でも俺自身が日本人であることを前面に出して売りにするのはダサいと思うからやらない。だって媚びてる感じがするでしょ、バンドマンとして。
ライブハウスにも、ぜひ
ーーほか、フェス関連で言いたいことってありますか?
新道:フェスのお客さんにライブハウスもぜひ楽しんでもらいたいな。
ーーリスナーの立場としては、ライブハウスに通うレベルになるには、何かしら惹かれるものがあるといいなぁと思います。それこそP!SCOのようなカリスマ性とか。
新道:P!SCOは人気のあるバンドだね。
ーーあとは八十八顆芭樂籽(88 Balaz)がスゴかったんです…。フェスの日に大雨で屋外ステージが中止になって、屋内のステージへ振替になって、時間も遅くなって23時20分開始くらいだったんですけど…。お客さんが帰らず待っているという状況でした。
新道:八十八顆芭樂籽のボーカルは阿強さんていうんだけど、音が鳴ってるんだったら楽しもうぜ!というスピリットを持ってる。音楽に対するマインドが良くてカリスマ性があるね。
--とあるインディーズバンドのボーカルが最前列で見ていたという情報もありました。
新道:うちのバンドのメンバーも八十八顆芭樂籽のように音を楽しもうっていう気持ちに溢れてるんだ。難しいこと考えなくても楽しい、っていうのをわかってるんだよね。だから一緒にやっててすごく楽しいよ。
今が一番楽しいよ
ーー最後にですね、今後5年で達成したい目標とかはありますか?音楽活動において。
新道:正直ねー、具体的にはない(笑)やっぱりその…なんていうかな、仕事メインでこっちに来てさ、バンドも最初はやるつもりもなかったし。
ーーいっぺん捨ててみても、結局自分に戻ってきてしまうものが本質かもしれませんね。
新道:そうだね。俺は今が楽しい。それだけで。だから、自分が楽しいって思える空間がもっと広がっていったらいいなって思ってる。
ーーでは質問を変えて。台湾にいる間に実現したい世界観を3つ挙げてください。
新道:ひとつは、ロックロール。メインストリームへのアンチテーゼ。
ーーなるほど。
新道:それから、もっと音楽って自由でフリーでいいんだよっていう価値観。クリックなんか聞いてないで、楽しもうぜ!!ファッションも含めてさ。プリミティブな価値観ですね。
ーー前編で仰っていたところですね。
新道:最後に、フェスに来てるお客さんに、是非ライブハウスに来てもらえるように、音楽を身近に感じてもらいたい!
ーー締まったー!ありがとうございました。
おしらせ 「共犯結構 Accompliles」来日ライブ公演
本編でもお伝えしましたように、2018年8月17日(金)に新道さんが台湾のパンクバンド「共犯結構 Accompliles」の来日ライブ公演の企画のため、日本へ一時帰国予定とのことです。
東京都内で台湾のパンクバンドを観られる貴重な機会ですし、会場で新道さんにもお会いできるかも…!?ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
―Live Information―
共犯結構 Accomplices(台湾) 1st Album『北山湖紀事本末』Release Tour~東京編~
場所:中野MOONSTEP (東京都中野区中央5丁目39-16)
日時:2018年8月17日(金) 開場 18:30/開演 19:00
料金:¥2,300-(+1drink)出演
THE LET'S GO ZOO
BOOViES
Theノーフューチャーズ
CxPxS
共犯結構 Accomplices(台湾)
まとめ
楽しくお読み頂けましたか?
今回のインタビューもかなり白熱してしまい、終盤では近場の公園へ移動してボイスレコーダーを回していたのですが。
我々のすぐ横を野犬がのしのし横切っていったような気がします。(今思えばちょっと怖かった。)でも、そんなことも気にならないくらい充実した約2時間の様子をお届けしました。
この文章を最後まで読み通せたあなたも、新道さんとの距離が一気に縮まったような気がしませんか?あとはCROCODELIAのフェイスブックをフォローして、どのような活動をしているか直接確かめてみてくださいね。
さいごに、長文でも一言でも構いませんのでぜひ感じたことをそのままSNSやE-mailにてお寄せ頂ければ幸いです。タピレコはあなたのご感想をいつでもお待ちしています。
Twitter:@Tapitea_rec
E-mail:tapiocamilkrecords@gmail.com
それではまたお会いしましょう、再見!
関連記事:タピレコ自習室 1時間目
追記(2018.7.28)
今回の記事の件で、SNS上でアーティストビザについてご指摘を頂きました。本件につきまして、改めて新道さんへ確認しましたので下記の通り追記いたします。
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