アジアの創造性が交錯する、インディー音楽最大の祭典。日本とゆかりのあるアーティストも多数ノミネート
台湾インディー音楽界の最高峰「金音創作賞（Golden Indie Music Awards／GIMA）」が、11月1日（土）に台北流行音楽センターで開催される。今年のテーマは「Brave（勇気）」。恐れずに“本当の自分”を生きるアーティストたちの創作を称える一夜となる。
アジアの音楽的多様性を映す、過去最多の応募数
16回目を迎える今年のGIMAには、アジア全域から4052作品もの応募が寄せられ、過去最多を記録。
審査委員長を務めるTizzy Bacの陳惠婷（HuTing Chen）は、「作品の“物語性”、すなわちアーティストがどんな感情やメッセージを伝えようとしているのかを特に重視した」とコメントしている。
陳嫺静、百合花──個性が火花を散らす注目ノミネート
陳嫺静（Hsien Ching）
一方、シンガーソングライター陳嫺静（Hsien Ching）『If we can be happy happy every day, who wants to be sad:＊』と『If we can be happy happy every day, who wants to be sad:))』の2作品は計7部門にノミネート。
さらに、台湾語・伝統音楽・ロックを自在に融合させるバンド百合花（Lilium）がアルバム『萬事美妙（Everything Will Go Wonderfully）』で6部門にノミネート。地域文化と現代表現を繋ぐ存在として、その革新性が高く評価された。
百合花（Lilium）
日本とゆかりのあるアーティストも続々ノミネート
ヒップホップ部門では、someshiit 山姆のアルバム『愚公』がベストヒップホップアルバム賞にノミネート。制作に携わったKNOWTIS「Knock'em off」もベストヒップホップソング賞に選出。台湾ヒップホップの現在地を象徴する存在として注目を集めている。彼は2026年1月30日・2月1日に開催される「Music Lane Festival Okinawa 2026」への出演も決定している。
また、BiKN Festival shibuya 2023に出演したシンガーソングライター鄭宜農（イーノ・チェン）の最新アルバム『圓缺 Moon Phases』（日本国内流通：Disk Union）は2部門にノミネート。
さらに、台湾を代表するサックス奏者 謝明諺（シェ・ミンイェン）が、日本のフリージャズ界を牽引してきた山崎比呂志、大友良英、須川崇志とともに制作したライブアルバム『Punctum Visus 視角』もベスト楽器奏者賞、ベストジャズアルバム賞にノミネート。
そのほか、9月に来日イベントを開催したソウル・アーティストYufuの『Heal Me Good』や、これまで幾度も来日している林以樂（リン・イーラー）の『素顏的樣子』も2部門にノミネート。鯖江JAZZフェスティバル2025への出演が記憶に新しいAndr「Pandemic 傳染病」がベストオルタナティヴ・ポップソング賞に、SYNCHRONICITY FESTIVAL '25に出演した柯智棠（Kowen）の楽曲「This is My World」もベストフォークソング賞にノミネートされており、台湾と日本のつながりを象徴するラインナップとなっている。
ベストアジアンクリエイティブアーティスト賞に見る「アジアの今」
アジア圏からの参加も年々拡大しており、今年の「ベストアジアンクリエイティブアーティスト賞」には、日本、韓国、中国、香港、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイなどから60作品の応募があった。
ノミネートには、インドネシアの社会派ロックバンド.Feast、メルボルン拠点の日本人アーティストELLE SHIMADA、韓国のエレクトロパンクデュオFat Hamster and KANG New、R&Bシーンをの新星Jacqui、そしてインドネシアのLomba Sihirらが名を連ねる。
アジアの独立音楽シーンが国境を越えて連帯し、新しい美学を共有する潮流を強く感じさせるラインナップだ。
Silica Gel、AUTTAらが出演──「Brave」を体現する特別パフォーマンス
左から、椅子樂團（The Chairs）、Silica Gel、AUTTA
授賞式当日は、「Brave（勇気）」というテーマを象徴するアーティストが特別に招かれ、ライブパフォーマンスを披露予定。
台湾からは椅子樂團（The Chairs）、韓国からは昨年のベストアジアンクリエイティブアーティスト賞を受賞し、今年はフジロックへの出演で注目を集めたSilica Gel、タイからは繊細かつ哲学的なリリックで注目を集めるラッパーAUTTAが登場し、国境を超えたコラボレーションも実現する。
台湾から世界へ──“勇気”がアジアをつなぐ夜に
今年のGIMA授賞式は、台湾のみならず韓国・タイの動画配信プラットフォームで生配信予定。
音楽は、境界を越えて生きる人々の「勇気」を照らす。GIMA 2025は、その象徴的な夜となるだろう。
ノミネート作品一覧
【カテゴリ―未分類の賞】
■ ベストアルバム賞
戴曉君 Sauljaljui／『VAIVAIK 尋走』(プロデューサー:戴曉君 Sauljaljui)
鄭宜農／『圓缺』(プロデューサー:何俊葦)
呂士軒／『好聲豪氣』(プロデューサー:呂士軒、呂尚霖)
FunkyMo／『物件，所在』(プロデューサー:李權哲)
百合花／『萬事美妙』(プロデューサー:鄭各均、蕭賀碩)
陳嫺靜／『如果每天都可以 happy happy 誰想要sad:)) - 一起去度假』(プロデューサー:李權哲)
■ ベストバンド賞
FUTURE AFTER A SECOND／『異骨 Xenobones』
八十八顆芭樂籽／『浪漫野球戰士列傳』
貓膽汁／『多汁』
百合花／『萬事美妙』
當代電影大師／『你在注視那遙遠的地方』
Robot Swing／『IS IT ALIVE? (Live at Yuchen Cinema Studio)』
■ ベストシンガーソングライター賞
LÜCY／『Dance on the Shoreline』
戴曉君 Sauljaljui／『VAIVAIK 尋走』
鄭宜農／『圓缺』
FunkyMo／『物件，所在』
林奕碩／『萬事美妙』
林以樂／『素顏的樣子』
■ ベスト新人アーティスト賞
BRBP／『BRBP』
FTK／『五毒』
Tickle Tickle 癢癢／『成人料理亭』
陳嫺靜／『如果每天都可以 happy happy 誰想要sad:＊- 合作的秘密』
SherryZ 鄭雙雙／『Time』
Dremedreman曾妮／『全村的希望』
■ ベスト楽器奏者賞
謝明諺／『視角』／次中音&高音薩克斯風
鍾錡(王鍾錡)／『19%』／爵士鼓
戴曉君 Sauljaljui／『VAIVAIK 尋走』／月琴、打擊樂
吳政君／『傳奇．雙擊—新視界』／打擊樂,世界手鼓,二胡,合成器
黃瑞豐／『傳奇．雙擊—新視界』／鼓組, 打擊樂器
利惟庸／『不會得就是不會得』／吉他
鄭昭元／『All On You』／鍵盤 合成器
洪惟農／『IS IT ALIVE? (Live at Yuchen Cinema Studio)』／吉他
■ ベストライブ賞
八十八顆芭樂籽／『二巡的盡頭 Tour Final 台北 THE WALL LIVEHOUSE』
Leo王／『Leo王船－騷晒午桑』
胖虎／『胖虎x2024 火球祭 FIREBALL Fest. 演出精華回顧』
恐龍的皮／『恐龍的皮 I Dig You：恐龍木乃伊之謎 電影專場』
當代電影大師／『當代電影大師2025公演』
■ ベストアジアンクリエイティブアーティスト賞
Fat Hamster and KANG New／『Brains in a Vat』
Jacqui／『Dirty Mirror Selfie』
Lomba Sihir／『Obrolan Jam 3 Pagi』
.Feast／『Membangun & Menghancurkan』
ELLE SHIMADA／『LULLABY FOR THR RIVER IN MY BODY』
【ジャンル別ソング賞】
■ ベストロックアルバム賞
病入膏肓／『19%』
FUTURE AFTER A SECOND／『異骨 Xenobones』
八十八顆芭樂籽／『浪漫野球戰士列傳』
百合花／『萬事美妙』
當代電影大師／『你在注視那遙遠的地方』
■ ベストロックソング賞
擊沈女孩／「Something New」／『Something』
倒車入庫／「燒香拜佛」／『當然無恙』
王若琳／「Dead Talents Society - 電影『鬼才之道』英文版主題曲」／『鬼才之道 電影原聲帶』
貓膽汁／「失望」／『多汁』
百合花／「萬事美妙」／『萬事美妙』
當代電影大師／「我希望你的眼睛」／『你在注視那遙遠的地方』
■ ベストフォークアルバム賞
Sapud Kacaw 撒部・噶照／『Parod 爐灶』
戴曉君 Sauljaljui／『VAIVAIK 尋走』
謝銘祐／『偏南』
張淦勛 Giyu Tjuljaviya／『雲就要翻過山』
Naa’u 娜塢／『kenkengiu 路上會有好多彎』
■ ベストフォークソング賞
柯智棠／「This is My World」／『My Nova』
戴曉君 Sauljaljui／「Dipin Kari Tang 麵包 咖哩 刺蝟 (feat. 泰武古謠傳唱)」／『VAIVAIK 尋走』
謝銘祐／「偏南風」／『偏南』
張淦勛 Giyu Tjuljaviya／「南迴之子」／『雲就要翻過山』
江孟薰／「完福」／『人生搞尞場』
■ ベストヒップホップアルバム賞
馬克SAVAGE.M／『海口』
someshiit 山姆／『愚公』
呂士軒／『好聲豪氣』
陳嫺靜／『如果每天都可以 happy happy 誰想要sad:＊- 合作的秘密』
李英宏／『東方美人』
■ ベストヒップホップソング賞
楊舒雅／「Rule男Freestyle」／『Rule男Freestyle』
KNOWTIS／「Knock'em off」／『KNOWT!S』（共同創作人： someshiit）
陳嫺靜／「吸塵器 維他命 (beat by Flowstrong)」／『如果每天都可以 happy happy 誰想要sad:＊- 合作的秘密』
李英宏／「萬華的蛇」／『東方美人』
PUZZLEMAN／「MY MESSAGE (feat. Shing02)」／『MY MESSAGE (feat. Shing02)』
CED／「RLGL」／『When It‘s All CED and Done』
■ ベストエレクトロニックミュージックアルバム賞
Wring Out Laura(林陽貴)／『Elixir』
FTK／『五毒』
凱比鳥／『非線性隨機振動與響應』
Oberka／『Regrow Protocol』
■ ベストエレクトロニックミュージックソング賞
FTK／「五毒」／『五毒』
B E N N／「Hilarious」／『Hypocrite』
Sonia Calico／「月光乩」／『月、色』
富愛子／「BOUNCE」／『Everything Sparks Joy』
Oberka／「Wildbait」／『Regrow Protocol』
■ ベストジャズアルバム賞
謝明諺／『視角』
楊又臻／『手術劇院』
Plutato／『Ctrl+Z』
陳子彰／『海、天、你與我』
■ ベストジャズソング賞
古樂樂良春／「三與虎」／『返祖現象』
黃彥斌／「布爾達河」／『給波蘭的一封信』
楊又臻／「台灣印象樂集 I. 雲海」／『手術劇院』
Plutato／「馬鈴薯大兵」／『Ctrl+Z』
陳子彰／「The Sea, The Sky, The You and I (feat. 鄭立偉)」／『海、天、你與我』
■ ベストR&Bアルバム賞
Yufu／『Heal Me Good』
BRADD／『Harvey Dent』
SherryZ 鄭雙雙／『Time』
陳以恆／『罐頭塔』
■ ベストR&Bソング賞
Yufu／「Heal Me Good」／『Heal Me Good』
YELLOW黃宣／「翅膀和泥土」／『翅膀和泥土』
Kumu Basaw 姑慕·巴紹／「Qrasun 讚美」／『Qrasun 格拉孫』
SherryZ 鄭雙雙／「Get a Little Higher」／『Time』
陳嫺靜／「New notes」／『如果每天都可以 happy happy 誰想要sad:)) - 一起去度假』
■ ベストオルタナティヴ・ポップアルバム賞
BRBP／『BRBP』
LÜCY／『Dance on the Shoreline』
富愛子／『Everything Sparks Joy』
陳嫺靜／『如果每天都可以 happy happy 誰想要sad:)) - 一起去度假』
林以樂／『素顏的樣子』
■ ベストオルタナティヴ・ポップソング賞
LÜCY／「Nothing ever stops me」／『Dance on the Shoreline』
YELLOW黃宣／「Ghost Swing」／『Ghost Swing』
BRADD／「青春戀愛手冊」／『Harvey Dent』
百合花／「怪味」／『萬事美妙』
陳嫺靜／「New notes (prod. by 鄭昭元 ZAOYUAN)」／『如果每天都可以 happy happy 誰想要sad:＊- 合作的秘密』
Andr／「Pandemic 傳染病」／『shhh, it's under my bed』
【特別貢献賞】
■ 特別貢献賞
