少し昔まで、「台湾の音楽はよくわからないもの」というイメージがあった。
バンド同士のつながりがよくわからなかったり、「中華圏のグラミー賞」と呼ばれている音楽賞があるものの情報が多すぎてよくわからなかったり、制作側のことがよくわからなかったり、あとはそもそも漢字が多く初見殺しだった。
「よくわからんから好きなアーティストだけ聞くぜ!」
そう言いたくなる気持ちもわかる。私もかつてはそうだったからだ。
しかし時は令和3年。「台湾は日本のオーディエンスに本気で台湾音楽の歴史や文脈を伝えようとしている!!」
そんな印象を抱かざるを得ない。なぜなら、台湾音楽の歴史を伝える3枚のポスターが、日本に上陸したからだ!
「台湾ミュージックサマリーポスター」By Taiwan Beats
メイデイ(五月天)、Cosmos People(宇宙人)、伍佰 & China Blue、No Party For Cao Dong(草東沒有派對)など、21世紀以降に台湾で活躍したロックバンド(解散済含む)を、約300バンド紹介。
2000年代以降に台湾で活躍する音楽プロデューサー
S.H.E「奇幻旅程」など数多くのポップス作品を手掛けたワン ジピン(王治平)氏、草東沒有派對「醜奴兒」などインディーズ作品を手掛けるリー・シャオズー(李孝祖)氏をはじめとする16人の音楽プロデューサーとその特徴、背景、および代表作品を紹介します。
台湾の二大音楽賞 金曲奨、金音創作奨大事典
台湾で最大の流行音楽を表彰するアワード「金曲奨(ゴールデン・メロディ・アワード)」と、インディーズ音楽を中心に独創性の高い音楽の創作を奨励する「金音創作奨(ゴールデン・インディ・ミュージック・アワード)」の歴史を紹介します。
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最初にお断りしておくと、私はこのプロジェクトの初期から主に日本語表現の監修で関わっている。名前もクレジットされている。プレス用の資料も書いた。なのでがっつり関係者になる。
うわークレジットされてるよぉ~!!
関係者枠でポスターを早めに送ってもらい、届いたのが今日。
「ポスターとはいえ、せいぜいA4か大きくてもA3くらいだろうから、そんなにスケールが大きいものではないだろう」と考え、「友達に配るから10部欲しい」とお願いしたのであった。
で、届いたのがこれ。この荷物。
\ずっしり/
穏やかな日曜の午前、想像を超えるスケールの荷物が届き一瞬頭がバグった。「私何か注文したっけ…??新手の越境EC詐欺…?」とすら思ったのである。
しかし差出人を見ると、お世話になったTaiwan Beatsの担当者さんの名前があり、品名にはしっかり「poster」と書いてある。ここでようやく、ポスターを送ってもらったと認識できたのである!越境EC詐欺とか言ってごめんなさい。
梱包を解いてみました。びりびり。
ポスターは1セットずつ、専用の筒でしっかり梱包されている。
1セット取り出してみたの図。
紙製の筒は、イメージで言うと「サランラップの芯を大きく厚くしたやつ」のイメージ。ポスター本体はしっかりガードされており、国際郵便でもダメージを受けにくい。
早速壁に貼ってみたの図。自宅の壁がとても賑やかになった!
これだけだとちょっとわかりづらいんですが、「21世紀以降の台湾ロックバンド系譜」が縦100㎝×横70cm、「2000年代以降に台湾で活躍する音楽プロデューサー」「台湾の二大音楽賞 金曲奨、金音創作奨大事典」がもう一回り小さいサイズ。いや1メートルて。
ちなみに「21世紀以降の台湾ロックバンド系譜」は、付属のシールで好きなバンドの名前を記入して貼ることも可能。
(正直、載ってないバンド探す方が大変ではある)
Mong TongとDope Purpleを貼ってみた。
(貼った後でMong Tongは落差草原 WWWW Prairieとつなげた方がよかったことに気づくっていうw)
さてこんな感じでキャッキャ楽しんでしまったのだが、紙で受け取るとやっぱり印象や重みが違う。
メールの履歴を辿ると、この企画は約半年前からはじまっており、その間、台湾のチームと私の間のやりとりは基本的にオンラインで仕事を進めていた。
関係者として「成功してほしいな♪」とは思っていたものの、それ以上の想いや背景をくみ取るところまではいけてなかったと思う。
しかしこの記事を書いている今日、完成品のポスターを受け取り、企画者である台湾側が本当にやりたいことを受け取った気がした。
以前コロナワクチンに関わる台湾についての記事を読んだとき、こんな一文を見つけた。
「自分の国が世界に存在しないような扱いを受ける、友好国はどんどん減っていく。台湾人のそういう心細さや哀しさは、経験したことのない人には分からないと思うよ」
私はプロジェクトの一部を一緒に進行した者としても、今回のプロジェクトはそこまでの想いが入っているかは正直わからない(あまり踏み込んじゃいけない気がしている)
だけど、完成品の品質やスケールを見ると、その文脈でもしっかり成功していると言える。
なるべく政治的な主張を表立ってはせず、「台湾の音楽について」発信すること。歴史をしっかり整理し刻み、明るいタッチで友好国に発信し伝えること。情報がなるべく正確なものであること。日本人の観賞に耐えうる日本語であること。
針の穴を通すようなアウトプットの成功の裏には、Taiwan Beatsや協力したメンバーの質へのこだわりと研究心が表れていると思う。
そんな素敵なポスターが、日本のいたるところにあれば、仮にどこかで災害が起きて消失してしまったとしても、どこかには残るだろう。
令和の次の元号になったとき、誰かが台湾の音楽を研究したくなったとき、その一助として、3つのポスターが参照される光景が思い浮かんだ。
「台湾と日本は、昔からつながっていますよね。音楽業界では、アーティストたちだけではなく、音楽ファンの皆さんとも多くの交流があり、国境を超えて影響し合っています。Taiwan Beatsの活動を通して、日本の音楽ファンの皆さんへ台湾音楽について紹介していると、よく『もっと詳しく知りたいです!』というお声を頂きます。加えて、日本の皆さんは紙の印刷物を愛する文化があるという情報がヒントとなり、今回の企画が生まれました。たった3種類のポスターに見えるかもしれないのですが、それぞれの形にまとめるまでに、複雑な関係性や情報を研究し、整理するために大変苦労しました(笑)その結果、これまで台湾にもなかったコンテンツが誕生しています。ぜひ多くの方のお手に取っていただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いします!」
(プレスリリースより引用:編集長Brien Johnのコメント)
そういう楽しみ方もできるので、ぜひこのブログを読んだ人はぜひ入手してもらえると、関わった一人として私も嬉しいです。
3種類の「台湾ミュージックサマリーポスター」は、Taiwan BeatsのSNSアカウントフォローで、10月31日まで無料でもらえます。
誠品生活日本橋(東京)、丸福珈琲 (心斎橋PARCO 4F)などで入手できます。
郵送も可能です。
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それではまた!