【新譜紹介】Mandark、5月16日リリースの新曲「EXX」で描く“熱と冷”の交差点

 

台湾のソロアーティストMandarkが、5月16日に新曲「EXX」をデジタルリリースした。R&Bやドリームポップを基軸にしながら、常にジャンルの境界を軽やかに超えてきた彼女。今回の新曲では、アフロビートを骨格に据えつつ、電子音楽的な空間設計を融合。温かさと冷たさ、情熱と距離感が同居する音像に仕上がっている。

 

open.spotify.com

プロデュースを手がけたのは、エレクトロニックミュージックのプロデューサー・陳大慶(Ral Chen)。繊細な音響設計によって、楽曲に一層の没入感とストーリーテリングをもたらしている。さらに、ドラマーの子祈、ギタリストに育融、ボーカルプロデューサーにKEEVといった気心の知れた仲間たちも制作に参加し、息の合ったコラボレーションが実現した。

 

「EXX」は誰にも届かない手紙——感情と物語の再構築

タイトル「EXX」には、Mandarkらしい細やかな言葉選びのセンスが光る。「EX」は“元恋人”や“過去”を想起させる接頭語、そしてもう一つの「X」は“削除”や“拒絶”の象徴。それはまるで名前のない誰かに宛てた手紙であり、触れることのできない記憶、心の奥底に灯されたままの火のようでもある。

 

"Where do I go when the road is long?"

"But time moves on, and so do we."

 

——道は遥かで終わりが見えない。そのとき、私はどこへ向かうべきなのか?
時間は容赦なく過ぎ去り、私たちも否応なく未来へと進まなければならない。

人生の分岐点で、この問いを自分自身に投げかけてきたMandark。


この楽曲には、そんな問いと向き合いながら、肩の力を抜いて一歩を踏み出そうとする彼女の“今”が刻まれている。

 

本人によれば、楽曲には都市と自然、興奮と不安、疾走と解放が入り混じったビジョンが込められているという。今は「I WANT TO LET GO, NO MORE PLANNIN'(もう計画しない、手放したい)」という感覚で、肩の力を抜きながらも未来に開かれている——そんな心の状態を音に乗せた。

 

“生活の中の奇跡”を掴むために

今週は、台湾最大の音楽賞、『金曲獎』のノミネート作品の発表があり、音楽業界がにぎやかだった週に、「やるべきことをやったら、あとは出すだけ」という気負わない姿勢で本作を世に送り出したMandark。「準備ができたら、きっと人生はもっと優しくなる」と語る彼女の姿勢は、音楽活動そのものにもにじみ出ている。

 


ちなみに、配信プラットフォームでのプロフィール写真は“うっかり使った生活感あふれる自撮り”とのこと。急遽の対応だったことを語りつつ、「次はちゃんとキメます!」というコメントも残している。

 

(翻訳協力:田川太一

 

EXX - Mandark


 

Do you think love can be changed? 

Could it be a passing phase?

My love always seems to leave.

Loneliness, I can hardly believe

 

Trapped in the endless masquerade

Smoke that rises is my only way.

I want to let go, no more plannin'

wishing this aching would end



Where do I go when the road is long?

Leaving me behind when I thought we were strong,

When did you stop — to need me?

When did you stop

to hold me?

But time moves on, and so do we

Leaving me in a world to defy.

 

 

Profile:Mandark

台北拠点の女性アーティスト。國立臺南藝術大學応用音楽学科卒業後、ドリームポップバンドI MEAN USおよびアーバンポップバンドSweet John(繁体字: 甜約翰)メインボーカリスト/キーボーディストとして加入。2021年にソロ活動をスタート。シンセポップ、インディーポップ、オルタナティブR&Bなど、さまざまなジャンルを行き来する未来感のあるサウンドを届ける。DE DE MOUSEやTokimeki Records、光学、jeanなど日本の音楽シーンとのコラボレーション作品も多数。SXSWや釜山ロックフェスティバル、Audiotree Liveへの出演によりインターナショナルに活動を展開し、台湾内外で注目度を高めている。

X:https://x.com/mandarkwhy
Facebook:https://www.facebook.com/mandark0809
Instagram:https://www.instagram.com/mandark.jpg/