Tapioca Milk Records管理人の中村めぐみが、文筆家の大石始さんがプレゼンターを務めるポッドキャスト「オールナイトアジア(仮)」にの第6回にゲスト出演いたしました。「オールナイトアジア(仮)」は、アジアの音楽とカルチャーを、旅するように楽しむポッドキャストです。この記事では、全文文字起こししています。ぜひ番組を聞きながらお読みください。
- イントロダクション
- ニート、台湾音楽と出会う
- 『Tapioca Milk Records』誕生
- インタビューから読み解く、台湾の食文化と、その背景にある環境
- Mong Tong最高です
- アジア音楽の「裏側」にもスポットライトを
イントロダクション
大石 始(以下、「大石」):
オールナイトアジア(仮)、そろそろ始めたいと思います。私は文筆家の大石始です。6回目の放送となる今回はまたゲストをお招きしております。フリーライターの中村めぐみさんです。 中村さんよろしくお願いします。
中村 めぐみ(以下、「中村」)
よろしくお願いいたします。
大石 :
こんにちは、今回はありがとうございます。
中村 :
こちらこそ、呼んでいただいてありがとうございます。
大石 :
前にね、NHKの方の番組でも1回、コメントというかオンラインでね、取らせていただいて。スタジオにもまた来て欲しいなと思ってる間にレギュラー放送が終わってしまってですね。 また再開したときはぜひ来ていただきたいです。
中村:
毎回NHKの番組も本当に(毎回)聞かせていただいたので、再開を熱望してます。
大石:
ありがとうございます、本当。
中村さんは、アジアの色んなところの地域の取材というか音楽をチェックされてますけど、やっぱり中心となってくるのは台湾のインディー音楽をすごく積極的に紹介されていて。
僕もですね、中村さんがやってらっしゃるTapioca Milk Recordsっていう、ブログっていうのかな。
中村 :
ブログのシステムを使ったメディア風の何かって感じですね。
大石 :
台湾のインディー情報とかを細かく上げていらっしゃって。こういうふうに細かくいろんな取材とかされてる方いらっしゃるんだなと思ってたら、縁があってお会いすることができて。Tapioca Milk Recordsはどれぐらいやってたんですか。
中村 :
大体2017年の終わりから今も続けているので、今年でもう8年とかになります。
大石 :
そうなんですね。 ちょっとこのポッドキャストを聞いてらっしゃる方も、Tapioca Milk Recordsと検索するといろいろ出てくると思うのでぜひチェックしてほしいです。
ニート、台湾音楽と出会う
大石:そもそも中村さんがその台湾の音楽にハマるきっかけって何だったんですか。
中村 :
はい元をたどると、私、ニートだったんですよ(笑)
大石 :
(笑)
中村 :
ちょっと高校のときに病気をしまして、卒業した後、体力が戻るまでみたいな感じで、期間限定のニートを家族公認でやらせていただいたときに、実家が田舎なんですね。 なのでやることが本当になかったんです。「インターネットで遊んでみるか」って思ったときに今でいう「ネトゲ」にハマりまして。
大石 :
はいはいはい。
中村 :
ネトゲは日本だけじゃなくて、台湾とかアメリカとかいろんな人たちが参加して、国別にチームを作って参加するようなものだったんですけどそこで結構台湾のチームがアツかったんですね。
大石 :
へーー。
中村:
「この人たちめっちゃ強いね」みたいな感じで、日本のゲーム仲間と話題になって、どうやら台湾の戦略・運用・連携みたいなのは「PTTという掲示板でやってるらしい」と。
大石 :
いきなりめちゃくちゃマニアックな話になってきた(笑)
中村 :
PTTっていうのが日本で言う「2ちゃん」みたいな感じで、割とアングラではあるんですけど、登録が実名制なんですね。 外国人も登録できるってなって、ちょっとみんなで突撃しようぜみたいな。 なので、いろいろ登録してしばらく待ってアカウント発行されて見に行ったんです。「ハロー、私、日本人!みんな元気?こんにちは♪」はみたいな感じで挨拶したらすごいコメントがバーッとついて。電車男でいう、「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」みたいな感じ。
大石 :
へーー!!!
中村 :
結構なんかちやほやされるじゃないですけど、物珍しく温かく迎えていただいて、そこから交流が始まったんです。それがもう20年ぐらい前ですかね。
大石 :
意外なところから来ましたね。 その台湾人の知り合い、友人がネット上ではあるけどもできて繋がりができて、そっから台湾の音楽にはどういう風に……?
中村 :
ある時に、台湾は(ゲーム上の)ライバルなんですけど、お互いの文化を紹介しあえないかってなって、日本のおすすめの曲と台湾のおすすめの曲を情報交換し合うみたいな流れができたときに、初めて聞いたのが、ジェイチョウの「七里香」っていう代表曲なんですけども。ジェイチョウってのはもうご存知だと思うんですけど、その台湾とか中華圏を代表する2000年代からのトップスターみたいな感じの方で、すごくその曲がいいなって思ったんですね。 それがその最初の台湾音楽って感じでした。
大石 :
ちなみに中村さんそのときは、 日本からは何の音楽を紹介したんですか。
中村 :
もう本当に恥ずかしいんですけど、なんかニコニコ動画とか、はいニコニコ動画の国歌みたいなのが…ww
大石 :
別にジェイチョウに対して、ミスチルとかそういうわけでもなく(笑)
中村 :
アニソンとかを紹介したような。もちろんミスチルを紹介する仲間もいる中で、なるほどニコニコ動画の曲みたいなめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど今思うと。
大石:
そうなんですね(笑)。でも一応ジェイチョウをそれで知って、いい曲だ歌手だ、歌い手さんだなみたいなことをそのときも感じたという感じですね。それまでは、別に何か音楽聞いたりとか、日本の音楽聞いたりとかはそんなになかったってことなんですかね?
中村 :
多分元々私はそうですねとあのランキングに入るようなチャートに入るような音楽が好きで、元々J-POPでglobeさんとか、あとはビーイングが大好きで。ZARDとか、あの辺でした。
大石:
なるほど。 ある意味日本のJ-POPの超王道というかですよね。 はい。 でもそこからでも台湾に一気に何か扉が開いちゃって、はい関心がぱっと広がったって感じなわけなんすね。
中村 :
はい、そうです。ただ、親公認のニートが期間限定だったので、その後、進学、就職したときにはちょっと(台湾の音楽が)気になるけど、興味が一瞬薄れたことがあって、今の割とライターとかに繋がってくるのは大体2016年とか2017年みたいなそれぐらいにまでちょっと時が飛ぶ感じになります。
大石 :
その頃聞いていて好きだった台湾の音楽っていうのはどういうものだったんですか。
中村 :
そうですねそのときは台湾のインディーズバンドってどんな感じだろうと思って、なんかYouTubeでずっと聞いてたんですよねそのときに聞いて「何これ、うわかっこいい!!」って思ったのが、今も活動してるNo Party For Cao Dong(草東沒有派對)っていうバンドで。
大石 :
そのとき、その頃から、へえ……!
中村 :
台湾に友達が何人かできたたので、「このバンドまじかっこいいんだけど」みたいな話をしていたら友達がこれ(CD)を送ってくれました。彼らのファーストアルバムです。
大石 :
それ、ファーストアルバムって何年ですか。
中村 :
これは確か2016年ですね。
大石 :
その頃にリアルタイムでNo Party For Cao Dongをチェックしてたってことなんですね。 すごいな。 だって日本で全く紹介されてないですよね。その頃って。
中村:
されてない時代で。寺尾ブッタさんとかがおすすめの台湾バンドみたいな記事を上げてる中の一つって感じでした。
大石 :
そっか、それはすごいやっぱりだからその日本のメディアとかを通して知ってる、そういう情報が入って入ってきてるんじゃなくて、はい、台湾の方から直で入ってきてるわけですよね。それがやっぱりすごい速かったり、っていうこともあるんすね。
『Tapioca Milk Records』誕生
大石 :
僕も多分最初に台湾、最初にというか1回しか行けてないですが、行ったのが多分2014年とかそれぐらいだったと思うんですよね。結構盛り上がってるんだなみたいなライブハウス。あの、The Wall行ったり、Legacy行ったり、その辺のライブハウス……地下社會 | Underworld」とかまだあった時に行ったんですが、そういう情報を直に台湾の方から中村さんは仕入れたというか、入ってたわけですね。それであれですねさっきおっしゃってたTapioca Milk Records2017年から始めたと言ってましたよね。 だからもうそういう台湾のそういう音楽と触れても割とすぐ、1~2年ぐらいでもうそのTapioca Milk Recordsを始めたってことだったってことですかね。
中村 :
はい。 そうですね。きっかけになったのがNo Party For Cao Dongのライブのチケットが取れて、Legacy台北に行ったんですけども。なんかそのときに本当にライブの盛り上がりがすごくて。ライブハウスの設備とかはちょっと日本に雰囲気は近いんですけど、そのオーディエンスの人たちがみんなすごい叫んでアンコールとかも早く早くみたいな感じですごい叫んでいったりとかして。
日本と何となくハコ(の雰囲気)は近いんだけど、ちょっとすごいこの盛り上がりとか空気感みたいなのが近くもあり遠くも感じたんですけど、そもそもなんか日本と台湾って結構近い国だし、台湾の人は結構歓迎してくれてるんですけど、なんでこれ(良い台湾のバンド)が日本に伝わってないの?って思って謎の正義感みたいなのが芽生えちゃったんですね。 芽生えた結果自分の中で何かできないかなって思ったときに、初めて着手したのがその情報を伝えること、それが「Tapioca Milk Records」に繋がっていきました。
大石 :
なるほどね。だからその「このバンド、こんなにかっこいいのになんで日本でこんな知られてないんだろう」っていう、その何か想いってその頃からずっと今も変わらず何か中村さんの中にある思いなんじゃないかなって気はするんですよね。 いかがですか。
中村 :
それはすごくあると思います。
大石 :
本当そのご自分ではTapioca Milk Recordsっていうのはブログでやってらっしゃるけども、他のいろんなWebメディアでもうずっといろいろ書いてらっしゃるじゃないですか。 はい。 なんかすごいペースで取材してすごいペースで書いてるなっていうイメージは結構本数めちゃくちゃ多くないですか。 なんか。
中村 :
そうですね~~。結構集中的に出すことが多かったりとか、1回台湾に行って、取材何件かして、それをまとめて出すみたいな感じですね。
大石 :
中村さんのこう記事を読ませていただくと、僕もアジアのいろんなアーティストにインタビューする機会があるので、 同じライターとして何かこう読ませていただくと僕らがそのインタビューするバンドって誰もが知ってるバンドではないじゃないですか。
だから、どうにかそのバンドを知らない読者の人に読んでほしいとか、音までたどり着いてほしいと思っていろんなテーマを考えるわけですけど、何の記事だったかな。Qeticとかでも書いてらっしゃるじゃないですか。読んだときに、そのアーティストがその社会の中でどういう意識を持って、その中で活動してどういうふうに発信してるのかみたいな音楽のだけのことじゃなくて、「社会の中での何かその人のあり方」みたいなことを何かちゃんと捉えて書いてらっしゃって、そういうふうに広い話になると、多分いろんな読者が何か読みやすくなるんだよなってすごく思ってたんですよ。 距離感とか、何か読者に対してどう届けるかみたいなことをすごく意識されながら取材活動されてるのかなっていうふうに思ったりしたんですが、その辺はどうですか。
中村 :
はいそれはあると思います。
ただ私は逆に(音楽的に)マニアックな方向に聞いていく、行けるっていうのがすごく羨ましくもありまして、やっぱりその反転ですかね、メインストリームな音楽ライターさん、大石さんとかもすごくそのマニアックなお話とかを引き出していく中で、やっぱり魅力的に見せていかれる方向性だと思うんですけど何か私は逆にそれがなぜかできないんですよね。 なので割と全体感みたいな話に振っちゃうのでなんか逆に「対岸」にいる感じ。「いいなーーー、マニアックな話私もしたいなーーー」みたいな。
インタビューから読み解く、台湾の食文化と、その背景にある環境
大石 :
そのインタビューをいろいろとやってらっしゃる中で、あれですよね。 この間の『SYNCHRONICITY』というイベントに出演された、アーティストの方にインタビューをされた。
中村 :
はい、アーティスト1人と、音楽関係者の方1人にインタビューしました。アーティストさんが柯智棠 Kowenさんで、音楽関係者の方が、Ranieさん。Ranieさんはそもそも今回シンクロニシティに台湾のバンドがアーティストが出たっていうのが『SYNCHRONICITY』とあと台湾の『Vagabond Festival』っていうフェスのパートナーシップによるコラボレーションで『Vagabond Festival』が台湾のいいアーティストに2組送り込むという座組だったんですけど、そのRanieさんは『Vagabond Festival』でブッキング全般を手がけてるので、権力者ですよね(笑)
大石 :
その方にうちのディレクター馬場氏が「なんかそのお母さんの料理で一番好きなものを教えて」っていう質問を2人にしてくれませんかっていうのをお願いいしたらしく、すいません本当お手数おかけしまして、ありがとうございます。
中村
とんでもないです。では、柯智棠 Kowenさん本人のコメントから。ちょっと回します。
(柯智棠 Kowenさんコメント)
これでインタビュー1本目です。 まとめると、「お母さんは仕事がメインの人だったので、あんまり料理はしなかった。 なのでお母さんの料理っていうよりはお母さんが入れたお茶がすごく好きで柯智棠 Kowenさんは今でもコーヒーはほぼ飲まないというかみんなコーヒーを飲んで目覚めるみたいな習慣ってあると思うんですけど、自分はお茶を飲んで目覚める」そうです。
大石 :
へえ~~。お母さんがそのお茶を淹れてくれると、台湾って、お茶めちゃくちゃ美味しいですよね!
中村 :
めちゃくちゃ美味しいです。 はい。
大石 :
お店でお茶飲んだんですけど、淹れ方がだからなんかちょっと儀式的なというか、なんか普通に淹れるんじゃなくて、これはこういうふうにやってこうやってみたいななんかすごくその文化として何か素敵な文化なんだなと思った記憶があるんですが多分そういうふうな感じで、何か丁寧にお母さんお茶入れてくれたってことだったのかな。
中村 :
そうですねちょっとこのインタビューからはどっちかが読み取れないんですけどいわゆる中国茶文化みたいな「蓋の裏の匂い嗅いで……」みたい人もいれば、多分割と台湾茶って茶葉が強いので、雑に湯飲みとかに入れてお湯を注いで飲むみたいな方もいると思うんですけど、うん、もしかして丁寧に入れてくれたのかもしれないですね。 私は雑に淹れる方ですww
大石 :
どっちでも美味しければね。 そっかなるほどね。これが柯智棠 Kowenさん。そして、もうひとり。
中村 :
Ranieさんですね。
(Ranieさんのコメント)
「ご実家は両親が共働きでお母さんがあまり毎日は料理はしない感じでした。ただ料理をするとすごく上手くて、その中でも思い出深いものとしては、タピオカです。タピオカって、台湾のドリンクスタンドとかで気軽に買えるものなんですけど、実際1から作るってなると工程がたくさんあります。何かタピオカまず煮たり冷水で締めたりして弾力出してお砂糖をつけて……みたいな感じでちゃんと作ろうとすると1日かかってしまうんだけれどもそのシンプルでどこでも買えるようなものをわざわざ家で作ってくれるってことに愛情を感じた」とおっしゃってました。
大石 :
そうなんですね。 タピオカだから、手作りのタピオカ、もちろんお店でも、こうね。僕も飲んだことありますけど、そういう家庭で作った手作りのタピオカって食べたことありますか?
中村 :
はい作ったことが実はありまして、確かに結構簡単に見えて、その乾燥してるタピオカを柔らかく煮るみたいなのが結構大変なのででもそれを作ってお母さんが作ってくれたっていうのはやっぱりすごいなと思いました。
大石 :
やっぱ手作りで自分でやると美味しいもんですか。
中村 :
そうですね~~~。 ちょっと記憶がうろ覚えなんですけどその達成感はあります(笑)
大石 :
やっぱそこは手間がかかるものをわざわざ作ってくれるっていうところに何か愛情を感じるってことなんですねお母さん。いい話ですねーなるほど。 でもこの2人ともご両親が共働き。
中村 :
はい、台湾では、全体的に何かお母さんがあまり料理をしなかった、みたいな方は、聞いてると多いと思います。
大石 :
その分でもその外食文化がその部分は豊かだっていうこともありますよね。
中村 :
はいそれはすごくあると思っていて、台湾って日本と比べて、そもそもフルタイムの共働き率が高いんですね。日本ですと共働き率上がってるけどフルタイムって多分3割とか4割とかだと思うんですけど、政府の調査によると台湾のフルタイム共働き率が一応6割以上というデータもありまして、それもあって、やっぱり外食文化がすごく栄えてると思います。
大石 :
なるほどね。 そっか。 だから仕事でそれで料理する時間もなかなかないから、はい。 でも確かに台湾に行くと何か家族連れでみんなでこうね、はい朝ご飯食べたり夜食べたりみたいな、よく普通見ますもんね。
中村 :
そうですね特に朝ご飯なんですけど、なんか日本でいう「カフェ」とか「ファーストフード」みたいな、その(外食の)ジャンルの一つとして朝ご飯店っていうのがあって朝ご飯専門店みたいな。台湾のおにぎりだったり、豆乳のしょっぱいスープとかがすごくリーズナブルなお値段で食べられるんですけど、すごい、超おすすめです。
だからこそ、何か私の友達の台湾の音楽ライターによると、ほとんど台湾のご家庭だと朝ご飯を家で作るってことがあんまりないらしくって。
大石 :
そうなんですか。
中村 :
はい。 なんか中学生ぐらいになると、通学路にある朝ご飯のお店で好きなの買って、学校で食べるみたいな、日本だとあんまり見られないですよね。
大石 :
なるほどね。 はいでもそこはその観光客にしてみるとね、そんだけ外食文化が盛んで、色んなものを食べるっていうのはその台湾の楽しさにもね繋がってきますもんね。
台湾行くと本当にマジ1日6食ぐらい食べますもんね。もうこれ以上食べれないっていうところでまた何かここ行きたいってなると、「もうとりあえずちょっと後先考えず食え!」みたいになっちゃいますもんね。
中村 :
(帰国まで)あと何食食べれるから~、みたいな感じで(笑)
大石 :
はい、本当食い倒れますよね。でもそれだけのね、価値がありますからね。
おすすめ新譜情報『MOON PHASES (圓缺)』-イーノ・チェン
大石 :
ちなみにその中村さんその音楽の話にまたちょっと戻ると、はい。 最近注目している台湾のアーティストってどなたがいらっしゃるんですか。
中村 :
たくさんいるんですけど、特にイーノチェン(鄭宜農 /Enno Cheng)という女性のシンガーソングライターの方が気になっていて。
大石 :
この間、新譜でましたもんね。
中村 :
はい!!ファーストアルバムから、ずっとアルバムタイトルが惑星の名前がついているんですね。 今回のテーマは月、月の満ち欠けをテーマにしたアルバムで、その人生における円満と欠落の概念を描いた素敵なアルバムです。
大石 :
韓国のイ・ラン(Lang Lee / 이랑)が入ってんですよね。
中村 :
はい、結局コラボしていてそもそも、イーノ・チェーンのレーベルとイ・ランが台湾で契約しているそうでして。
大石 :
そうなんですかね。 イ・ランって台湾でも結構ライブやってるんですか。
中村 :
そうですね。 多分イーノ・チェンの繋がりから、結構フェスとかにも出たりイーノチェンのこの前のワンマンライブにも特別に出演されてたみたいです。
大石 :
そうなんですか。 はい。 なるほどね。このイーノ・チェンのアルバム、5月に出たばっかですよね。 はい。
中村 :
5月1日ですね1日にデジタルリリースでフィジカルが5月16日にリリースされまして、何と日本でも近いうちに買えるとのことですと、ディスクユニオンさんが。
大石 :
素晴らしいディスクユニオン!はい、そうなんですか。これ出るっていうのはCD、レコードですか。
中村 :
CDですね。
大石 :
これはちょっとあれですね、ぜひCDで買いたいという方はディスクユニオン各店に、行っていただいて。 ディスクユニオンはもう本当、あのアジアにすごく力入れてねプッシュしていろんなことやってるから、ありがたいですよね。
中村 :
めちゃくちゃありがたいです。
大石 :
台湾もそうだし、あと韓国のものとかもね、この番組にも出てくれた美里ちゃん(内畑美里さん)がいろいろ書いたりとかして、はい翻訳、対訳やったりとかディスクユニオン様々ですねありがたいですね。
Mong Tong最高です
大石 :
他にはいますか。 イーノ・チェーン以外で。
中村 :
イーノ・チェーン以外ですと前回NHKの番組の方でレコメンドさせていただいた『Mong Tong』っていう。
大石 :
Mong Tong最高です。
中村 :
はいちょっと今日お土産があるので、後ほどお渡しします(笑)
大石 :
おおお~!!(笑)Mong Tongは兄弟ですよね。
中村 :
はい、Mong Tongは彰化県出身の兄弟による、電子音楽・サイケ・アンビエントみたいな……
大石 :
ライブで日本に来たのって、去年でしたっけ。
中村 :
一昨年ですね。月見ルで……!!
大石 :
あのときのライブもう本当に最高で素晴らしかったですね!! めちゃくちゃ良くて、はい。 なんか本当にダンストラック的なものが入りつつそこにこう生のベースが入ったりとか、エレクトリックパーカッションみたいなものが2人で叩いたりとか。 本当いろんなスタイルで演奏するバンドというかねユニットで。 面白いですよね。なんか音源とはまた全然違う激しい感じがあって。
中村 :
変えてくるんですよね……!
大石 :
音源もほらまた音源によって全然違ったりするじゃないですかはい、だからどんな感じでやるんだろうと思ったらめちゃくちゃ踊れる、すごいかっこいいライブで。また来て欲しいんですけどね、Mong Tong。
中村 :
私も来て欲しいと思ってます。去年タイまで追いかけていっちゃいました!!
大石 :
本当ですか!? それで見れたんですか。
中村 :
見れました~。タイのなんかすごい僻地で山の上にある、牧場施設みたいなところでライブをやっていて。
大石 :
ワンマンですか?
中村 :
それはフェスというか、フェスと対バンイベントの間みたいな野外イベントだったんですけど、めちゃくちゃ最高でした。
アジア音楽の「裏側」にもスポットライトを
大石 :
そっか、タイにも行ってらっしゃるんですよね。そのときは何かインタビューもしたんですか。
中村 :
はい、その時はMong Tongと、FORD TRIOっていうタイのバンドの対談をなぜか日本人ライターがやる、みたいな企画と、あとは私がもう一つ運営している『Asian Experimental 100 People』っていうプロジェクトでタイの音楽関係者にインタビューさせていただきました。
大石 :
なるほど。『Asian Experimental 100 People』、これもすごい面白いインタビュー企画というかメディアというか。どういうものかちょっと説明していただけますか。
中村 :
はい。 『Asian Experimental 100 People』略して『アジハン』は、アジアの音楽関係者でアーティストさんだけじゃなく、裏方の方にも会いに行くという企画で、目標は10年で100人の方にインタビューすることを目標にしてます。
大石 :
へええ~。それは、アーティストではなくて、裏方にインタビューして、それはまた何かその何だろうな、中村さんのこういうものを伝えないといけないみたいな何か目的意識みたいのが何かあるんですか。
中村 :
目的意識としては、今結構日本の音楽業界の方もアジア、アジアって最近意識が向いてると思うんですけど、やっぱりそれぞれの土地で音楽文化を支えてきた人たちがあってこその今なので。
そういった方たちの声を届けることで、その日本の方に親しみを持っていただく、アジアのことをもっと好きになっていただいたり、あとはそのアーティストのインタビューだとどうしてもプロモーションになりがちなので、実際そのシーンの話とローカルの情報をその当事者の口から話していただくことで、もっとみんなが詳しくなってくれたらいいなって思ってます。
大石 :
なるほど、素晴らしい、素晴らしいですね。それはだってこのメディアっていわば自費でやってるってこと?
中村 :
自腹で全部やっております。
大石 :
すごいですよね。
中村 :
ありがとうございます。
大石 :
本当尊敬でしかないです。その『Tapioca Milk Records』のこともそうですけど、だから今のそのいろいろなメディアの中で、伝わってる情報だと伝わらないことを、こういう風なね、『アジハン』とか、こういうものを通して紹介されてるということなわけですもんね。 だからそこのスタイルというかそのスタンスも含めて、やっぱ尊敬ですね本当。
中村 :
とんでもないです。 なんか下世話な話ですけど例えば競馬とかパチンコとか行ったらなんか1日多分数万円とか使っちゃうじゃないですか。 私多分ギャンブルとかめっちゃハマるタイプだと思うんですよ(笑)。逆にこういうクリエイティブな活動をすれば、もちろん記事を書くのとかにもコストはかかるし、通訳さんにももちろんお礼はお出ししてるのでコストはかかりますけど、多分パチンコとか宝くじ、競馬、競艇とかよりは、そんなにコストかかってないような気もしてます。
大石 :
へえすごいやすげえな今この10年で100人に話を聞くと今何人ぐらいの取材は終わってるんですか。
中村 :
ちょっとまだまだでして、今ようやく8人目の記事を公開したところでして。
大石 :
でも公開されたのっていつでしたっけ、始まったのって。
中村 :
今大体1年半くらいだから2023年の12月からとかなので若干目標に対してビハインド。ちょびっとビハインドしているのでここから巻き返していければと思ってます。
大石 :
でもそれがおそらくそういう、特にねアジアの音楽に限らずいろんなカルチャーという移り変わりがものすごい激しいじゃないですか、速くて、前はあったライブハウスがあっという間になくなってしまったりバンドが解散してしまったりってのはよくあることなんで。
こうやって定点観測みたいな感じでいろんな方に話を聞いたことが数年後の方もしかしたらね、音楽活動や音楽に関する仕事辞めちゃったけど、あの時やってたことすごい素晴らしかったね、みたいな記録としての意味みたいなものが多分どんどん意味が増してくるんだと思うんですよね。
そういう意味でも、やっぱずっと続けていくっていうことがとても素晴らしいし、やっぱ尊敬ですねこれはね。本当に。
中村:
ありがとうございます。
大石:
今日中村さんがご紹介してくださった音源は、プレイリストでまとめて公開したいと思いますんでそちらも合わせて楽しんでいただければと思います。
こちらのオールナイトアジア(仮)は香りに特化した「B.BALM」の提供でお送りしました。この「B.BALM」の詳細は概要欄でチェックしてください。
またその他もスポンサー様も募集しております。という感じで今日中村さんいろいろとありがとうございました。 またちょっとねいろいろと聞きたいこともたくさんあるしまた台湾もまたしょっちゅう行かれてね、その感想とかも聞きたいので、ぜひこちらのポッドキャストの方もNHKの方もまたお越しいただければと思います。
中村:
ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いいたします。
大石:
ありがとうございました。 というわけでオールナイトアジア(仮)、次回もお楽しみに!