新譜紹介:拍謝少年「向かい風・追い風」(原題:「歹勢好勢」)

向かい風・追い風

 

台湾・高雄出身のオルタナティヴ・ロック・バンド、Sorry Youth(拍謝少年)の3rdアルバム『Bad Times, Good Times』(歹勢好勢)の日本盤が、8月4日(水)にリリースされました(台湾では4月にリリース)。「向かい風・追い風」として日本市場向けのタイトルがつけられています。直訳でもなく捻りすぎてもなく、良いタイトル。そうゆうとこだよね。

 

本リリースを記念し、台湾のクラフトビールブランド、臺虎精釀(タイフーブリューイング)の日本タップルーム「Taihu Tokyo」は、Sorry Youthとのコラボレーション ビール「ハイピルスナー」( Hai Pilsner | 嗨口味 )発売記念イベントを実施。ちなみに、「嗨口味」は、Sorry Youthの1stアルバム「海口味」とかけたものかと。

 

 

同店は3月にコロナウイルスの影響で閉業していましたが、今回9月3日、4日に本イベントのために特別営業とのこと。(お酒の提供はテイクアウトのみ)。そんな噂を聞きつけたら行くしかない!というわけで、無事ゲットしてきました。感染症対策のため直行直帰だぞ!

 

無事ゲット。

 

拍謝少年

「向かい風・追い風」

(原題:「歹勢好勢」)

収録曲:
1. 君は比類なき僕らが好きさ 你愛咱的無仝款
2. 正義の人を時代が見守る 時代看顧正義的人 (feat. 柯仁堅)
3. 百人百様 百百人生 (feat. 陳惠婷)
4. 夜市をぶらぶら 踅夜市 (feat. 余佩真)
5. 向かい風の中年 歹勢中年
6. 巡行 出巡 (feat. 三牲獻藝)
7. 時よ止まれ 望時間會留
8. 揺るがぬ近い 山盟
9. 世界が静かな時に 佇世界安靜的時
10. 夜市をぶらぶら (Live Session)  踅夜市 (Live Session)*
*日本盤限定ボーナストラック

 

台湾のインディーズバンドのアルバムで、日本向けにローカライズされているものは多くないのです、が、本作には1曲1曲の日本向けのタイトルが入り、また日本向けの解説がしっかり入っている親切仕様。ぜひ、彼らの言葉を直接読んで受け取って欲しいです。

 

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レーベルは、台北のエージェンシー、Tron Music。Tron Musicは、「Borderless」を掲げ、台北・日本・中国・韓国・タイをつなぐブッキング、PRサービス、ディストロなど幅広く手掛ける音楽事務所のようです。中の人とまだ話したことないから詳細は不明だけど、Rock Recordsとか、Airhead Recordsなどのレーベルとパートナーシップのもと、台湾アーティストの海外流通や海外アーティストの台湾マネジメントをやっているみたい。

 

さて本作は、1stアルバムから変わらない、「台湾っ子の精神的支柱」としての骨太なロックサウンドと哀愁はそのままに、台湾パンクバンドとして1980年代から活躍するLTKコミューンの柯仁堅、ピアノロックバンド Tizzy Bacの陳惠婷、金曲獎を受賞した女性シンガーソングライターの余佩真、伝統音楽の要素を電子音楽に溶け込ませるベテランバンド、三牲獻藝を招き、これまでの拍謝少年を進化させています。

 

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特にTizzy Bacの惠婷が参加する「百人百様(原題:百百人生)」が地味に好きでした。メロディーラインの起伏は少なくなだらかで、いつもTizzy Bacの「起伏」に振り回されているリスナーにとっては逆に新鮮。重めのサウンドを控えめに彩る電子音が独特の味わいをもたらしています。惠婷自身初となる台湾語ボーカルにも注目です。歌詞からは、人生の旬を過ぎ、中年の入り口に立つ主人公が平凡な人生に諦めと甘さを見出しながら、時々後ろ向きに、時々前向きに生きようとする様子が読み取れます。

 

 

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いつものTizzy Bacはこんな感じ。0:30~のような爆発力が持ち味。

 

また、「揺るがぬ近い」の原題:「山盟」は、彼ら自身が主催する音楽祭「山盟海誓音樂祭」にもみられるように、拍謝少年のアイデンティティを表明するキーメッセージと言えるでしょう。イントロから繰り返されるシンプルなピアノのフレーズと磊落としたアレンジは、聞き手を郷愁の暗闇にいざない、故郷と仲間への想いを静かに叫びます。

 

他のアーティストを迎え新しいありさまを表現し、かつ1stから拍謝少年が歌い続けてきた故郷への想いが1つになった3rdアルバム「向かい風・追い風」は、時代の閉塞感のなかで、遠くへ行けなくても、大きなものを求めようとしなくても、先輩や仲間を頼って、自分たちなりの良いものを再構築していこう、ここにあるものと一緒に。そんな態度と願いが詰め込まれているように感じました。

 

みなさんもぜひ。

 

 

【近況報告】2年前から言っていますが、タピオカミルクレコードをちゃんとしたサイト(?)にしたいです。美術館のオウンドメディア風に、記事を見やすく整理して、面白い記事をたくさん出すである。たとえば「LTKコミューンと88balazは実際どっちがやばいやつだったのか」とか、私得でしかないやつ。絶対面白いでしょこれ。笑