令和5年。本格的にコロナ禍が明け、アジアのバンドが続々と来日している。都内では毎週のようにアジアのインディーズバンドが出演し、日を追うごとに盛り上がっているような、いやいやもっと爆発してもいいような……!?という中、この状況に一石を投じるイベントが行われるとの情報が入ってきた。
11月3日(金・祝)にO-EAST・O-WEST・O-nestなど渋谷の6会場で行われるアジアン・アーティストによるショーケース・ライブサーキット『BiKN shibuya 2023』 (ビーコン・シブヤ・2023)。
タイトル︓ BiKN shibuya 2023(ビーコン シブヤ 2023 )
日程︓2023年11月3日(金・祝日)
時間︓開場11:00 |開演12:00予定
会場︓Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest
duo MUSIC EXCHANGE / CLUB asia/ 7th floor
主催︓BiKN2023実行委員会
オフィシャルサイト︓http://bikn.asia/
ラインナップはこちら。ヘッドライナーは落日飛車 Sunset Rollercoaster、以下、アジアで存在感のあるバンドがずらり。日本からは海外の会場をsold outさせるなど今後のポテンシャルが高いミュージシャンが選定されているそう。
いや、最初にこのイベントの告知を見た時は相当びびりました。なんなら二度見した。時代、ここまで進んでた!?って。
というのも、アジアと日本の交流、という文脈で言うと、2010年代後半からアフターコロナにかけて、対バン形式のライブハウスイベント・国を単位にしたカルチャーイベント、あるいは人気アーティストによるワンマンライブが続々開催されてはいた。
でも、アジア全体をテーマにしたショーケースはとても珍しいものだった。強いて挙げるなら『Music Lane Festival Okinawa』くらいだろうか。
色んな人がさんざん言ってるけど、ガラパゴス化が進む2020年代の日本の音楽市場でアジアの音楽をビジネスとして成立させるのは本当に大変で。言語の壁、商慣習の違い、文化の違い。追い打ちをかける円安。
そうした壁が関係者の尽力で溶けつつあることは感じていて、今後も緩やかにいろんな境界が交わっていけばまあ、2040年くらいにアジアのバンドがたくさん出るフェスをZ世代のすごいイベンターがやってくれるものだと思ってたんですよ。ごめん、私は若い世代に丸投げする気満々だった。
その諸々を今回BiKN shibuyaがぶち壊し、アジアのバンドが集う日本のイベントとして開催する。それもポップカルチャーの発信地・渋谷で。何それ…ぜったい…面白いやつじゃん…??
というわけで私自身も素早く早割チケットを入手しつつラインナップの発表を楽しみにしていたんだけど、出るわ出るわ。「あ、その人たち呼んで欲しかったんですよ!」っていうミュージシャンたちの出演情報が。
たとえば台湾のアーティストなら
淺堤 Shallow Levée
2020年に1stアルバム『不完整的村莊(The Village)』をTrons Musicからリリースした淺堤 Shallow Levée。メンバーはギター・ヴォーカルの依玲(イーリン)、ギターの紅茶(ホンチャ)、ベースの方博(パトリック)、ドラムの堂軒(サム)の4人。2017年にリリースしたEP『湯與海 / Soup & Ocean』の、リラックスした台湾インディーポップ的な表現から音楽性が徐々に変化し、スルメ系楽曲連発のユニークな形へと進化し続けている。
2018年に来日した時に下北沢 MOSAICでのライブを見たんだけれど、透明感と素朴なサウンドに依玲(イーリン)の優雅なボーカルの魅力は他では味わえないと思う。本当にライブを見た方が良いバンドです!トップバッターだから遅刻注意!
拍謝少年 Sorry Youth
ギターボーカル・維尼(ウェニー)、ベースボーカル・薑薑(ジャンジャン)、ドラムボーカル・宗翰(フレッド)による台湾語オルタナロック拍謝少年 Sorry Youth。骨太なサウンドと堂々たる佇まい、コラボレーションなどの企画力で台湾インディーズ文化の精神的支柱、中心的な存在として大きな影響力を持つバンド。台湾の現場ではオーディエンスみんなで大合唱の嵐。日本では台湾が好きでロックも好きなファンに支持されていて、たびたび来日ツアーを敢行しています。
鄭宜農 Enno Cheng
歌手、女優、作家など幅広く活動する女性シンガーソングライターの鄭宜農 Enno Cheng。父で映画監督の鄭文棠による2007年の映画『夏天的尾巴》(英語:Summer's Tail)で主演&主題歌の作詞作曲などで表舞台に立ち、2011年に1stソロアルバム『海王星』で本格的に音楽活動をスタート。
力強くも優しく、電子音楽も生音も歌いこなす歌唱力とステージでの凛とした佇まいは同じ女性としてとても憧れるもので。なんつーかな、Enno Chengって努力してるアピールはしないんだけど、あ、この人絶対陰でめっちゃ努力してる人だ…っていうのが伝わってくるんですよね。最新アルバム『水逆 Mercury Retrograde』の出来栄えは一つの到達点だと思う。呼んでくれてありがとうございます!
落日飛車 Sunset Rollercoaster
今回のヘッドライナー、落日飛車 Sunset Rollercoaster。メンバー國國(Vo./Gt.)、弘禮(Ba.)、小干(Key.)、浩庭(Sax.)、尊龍(Dr.)の5人。もはや説明不要なのですが少し説明すると、シティポップ・サイケなどメロウな音楽性と完成度の高いライブで台湾はもちろん日本、アメリカ、ヨーロッパで高い評価を得ているバンド。
昨年発表したコラボレーションアルバム『Infinity Sunset』では、コラボしたアーティスト7組中6組がアジア発のアーティストで、その中には日本のNever Young Beach、タイのPhum Viphurit(プム・ヴィプリット)も。まさに今回、『BiKN shibuya 2023』のヘッドライナーでトリにふさわしい、というかこのバンドしかいないっすよね…、と言える象徴的な存在だろう。
台湾勢だけでもこの4組が1日で、しかも日本で見られるというのは従来のショーケースではありそうでなかった組み合わせだ(そして今後もないだろう)。
もちろん、台湾以外からの出演者もめちゃくちゃ貴重。北京オルタナの始祖Carsick Cars カーシックカーズ、韓国で大きなプレゼンスを放つSay Sue Me セイ・スー・ミー 、タイのちょっと不穏なサイケ・シティロックSoft Pineなどなど…語りつくせないほど良ラインナップ。見たいバンドが被りまくりだ。
アジアで今勢いが増す出演者が出そろう『BiKN shibuya 2023』はその開催意義も、出演アーティストがとても旬という意味でも間違いなく後に語り継がれるものになること間違いなし。このまたとない機会、現場を目撃してほしい。伝説はいつだって、革新的なことからはじまる。
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