皆さんこんにちは、タピレコです!前回は「台湾で日本のバンドを受け入れたときに手配したこと、逆にピンチだったこと」について、ケニーさんの経験を中心に詳しくお聞きしました。
さて、ケニーさんの旅は台湾~日本の間にとどまらず、アメリカ、そしてインドネシアと続いていきます!!まずは、台湾インディーズ界にまつわる「もうひとつのウワサ」の真相について確認しました。
今回も海外音楽シーンの情報でおなかを一杯にしてくださいませ!お好きなところからどうぞ。
- 「台湾では、インディーズバンドが政府から補助金を受け取れる?」
- アメリカは「まるで別世界」。そして、起きたミラクル。
- Facebookから、インドネシアに導かれて
- インドネシアは、驚くほど「フレキシブル」
- 「シーンを挙げて若手を育てる」という文化に触れて
- 【編集後記】
- (PR)LINEスタンプ「小人と黒ねこ」by noa and fran
「台湾では、インディーズバンドが政府から補助金を受け取れる?」
(後半で触れるインドネシアツアー中の一枚。一番右がケニーさんである)
ーー後編もよろしくお願いします!まずは前編に引き続き、台湾インディーズ界にまつわるもうひとつの「噂」についてお聞きしたいのですが…
ケニー:はい、なんでしょうか(笑)
ーー「台湾では、インディーズバンドも政府から補助が受けられる」ということなのですが、まさか、そんなことがあるはずはないですよね。
ケニー:それは……
ーー……
ケニー:本当です!
ーーええー!!!まさか本当にそのような制度があるとは。くわしく教えてください!
ケニー:数年前より、台湾政府の「文化局」が、さまざまな音楽関係の事業への補助の輪を広げました。「国内の音楽産業を育成し、これまでよりも活躍の幅を広げさせる」いうことが目的です。その一つとして、インディーズバンドへの資金補助があります。
ーー行政規模でインディーズ音楽産業を補助してくれるなんて、夢のような話ですね…!
ケニー:とはいえ、すべてのバンドが対象というわけではなく、企画書などを提出し、音楽の専門家たちによるデモ音源などの厳しい審査も待ち受けています。また、補助を受ける場合は、一定の間にかならず作品をリリースするという決まりごともあります。
ーーケニーさんのバンド「COUNTERVALVE」も利用したことがあるのでしょうか?
ケニー:いえ、2回ほど申請をしたことはありますが、残念ながら僕のバンドは補助を受けることができていないのです…。
ーーそれは残念ですね…。あの…よろしければ当時の企画書などを拝見してもいいですか?
ケニー:良いですよ。こちらになります。
(ケニーさんのバンド:COUNTERVALVEが台湾政府へ提出した企画書より一部抜粋)
ーーバンド結成の経緯、メンバーの経歴や影響を受けた音楽、ライブ経歴などもくわしくまとめてあるんですね。本気で良いものを作りたい、という気持ちが伝わってきます!
ケニー:僕たちがこの企画書を作った経緯なのですが、ある時、COUNTERVALVEのメインボーカルから「新しいアルバムはアメリカでレコーディングをしたい」という話が出まして。
ーー台湾にもレコーディングスタジオはありますよね。どうしてアメリカに?
ケニー:僕も、最初はまるっきり冗談かと思いました。だってアメリカですよ!?けれども、よくよく話を聞いたところ「新しいアルバムを創るならば、Grungeというジャンルそのものを深く理解している人に録ってもらいたい」「Grungeのレコーディングのプロといえば、Steve Albini。だから、本場のアメリカへ行くべきだ」と本気だということもわかってきまして。
*Steve Albini…スティーヴ・アルビニ。レコーディングエンジニア/ミュージシャン。Nirvana, The Pixies, The Breedersのアルバムなど数多くの作品のレコーディングを手掛ける。
ーーアメリカでレコーディングするならば費用もかさむでしょうし、補助があればありがたい…!という気持ちはわかります。
ケニー:とはいえ、「たとえ補助を受けられないとしてもアメリカに行こう!」とメンバー同士で決めていたので、自分たちでお金を出し合ってアメリカへ行きました。
アメリカは「まるで別世界」。そして、起きたミラクル。
(アメリカレコーディングで録音した楽曲のMV。ぜひ聴きながら読み進めていただきたい ※音量に注意)
ーー実際に、アメリカへレコーディングに行ってみた感触はいかがでしたか?
ケニー:僕自身も、そこまでレコーディングの経験が豊富というわけではないのですが、足を踏み入れた瞬間、これまでに僕が知っていたレコーディングスタジオとはまるで別世界ということがわかりました。
スタジオ:Electrical Audio https://www.electricalaudio.com/
ーー主にどういったところが異なっていましたか?
ケニー:とてつもなく広い空間に、ギターアンプ・アンプヘッドも5~6個あって、エフェクターもおおよそ100種類はあって、全部使い放題。それらを、好きなようににカスタムして良いよと言われて、本当にすごいなと思いました。
ーーわ、めちゃくちゃ広いですね。
ケニー:また、Steve Albiniは僕にとってレジェンドであるNirvanaとPixies、そしてTHE BREEDERSのアルバムも手がけている、「レジェンド・エンジニア」なのですが…
ーーほほう。
ケニー:なんと、偶然にも、僕らのレコーディングしている日程と、THE BREEDERSのレコーディング日程が被っていて、THE BREEDERSのメンバーと実際に会うことができたんですよ!!!
ーーすごい!!奇跡的ですね。
ケニー:休憩中にスタジオの外で、キム・ディールが目の前に現れたときは本当に驚いて、思わず叫んでしまいました。
ーーとてつもないミラクルですね!でも、実際に会話してみたら性格悪くて夢が崩れた、なんてことはないですか?
ケニー:怒りますよ!?(笑)そんなことはありません。THE BREEDERSのメンバーはフレンドリーに接してくれて、一緒にベースボールを観戦させてもらったり、過去のライブの思い出を話したりなど本当によくしてくれました。
ーーアメリカへ行って良かったですねえ…
ケニー:最後は、台湾へ帰るときに、スティーヴ・アルビニに「中国語でまたね、ってなんていうの?」と聞かれて、「再見!」とあいさつを交わしてアメリカをあとにしました。
ーーたくさんの収穫があったアメリカでのレコーディングですが、行く前と行った後で、何か変化したことはありますか?
ケニー:やはりTHE BREEDERSに会えたことかな(笑)それから、この時にレコーディングをしたアルバム「逆瓣膜」がキッカケで、インドネシアツアーが実現することとなります。
ーーインドネシアの音楽シーンって、知らないことだらけなんです。ぜひ詳しく教えてください!
(アメリカツアーのレコーディングの様子である)
Facebookから、インドネシアに導かれて
ーーケニーさんとしては、もともとインドネシアでツアーをしてみたい!という気持ちはあったのでしょうか。
ケニー:台湾で日本のバンドを受け入れ側を経験したことと、自分も日本ツアー、アメリカへレコーディングへ行くことで「海外で音楽活動を展開することのおもしろさ」の味を知りました。そこで定期的にバンドとして海外に行きたいなぁとは思っていたんですよ。
ーー日本でツアーをしたから何度も日本というわけではなく。
ケニー:音楽に限らず「これまでにない経験をしたい!」という想いはいつも持っています。そこで2017年に新しいアルバムを公開したことをFacebookのファンページでシェアしたところ、とあるインドネシアのバンドからコンタクトが来て。それから毎週のように英語でのやりとりが始まりました。
ーーなるほど。インドネシアの方は海外との交流に積極的なのでしょうか。
ケニー:そう思います。日本のインディーズバンドがなにかインフォメーションをアップすると、すぐにインドネシア人もFacebookでシェアするんですよ。
ーーそんなにも、情報が欲しがられているなんて!とても嬉しいです。
ケニー:また、台湾のElephant gymや日本のbachoらも広く知られています。さらにインドネシアのパンクシーンの一部は日本のHi-STANDARDなどメロコアの影響を受けているようです。
ーー逆にわたしたちがインドネシアのシーンを研究したい場合はどうすれば良いのでしょうか?
ケニー:インドネシアでは、bandcampがよく使われているようなので検索すればたくさん出てくると思いますよ。
ーーケニーさんから見て、インドネシアのグランジシーンはどのように捉えられましたか?
ケニー:彼らとのやりとりを通してわかったのは、インドネシアのグランジシーンには僕が思っていたよりも、多くのバンドがいいて、リスナーさんも多くいるようだ、ということでした。一つのグランジイベントには、20バンドくらいは簡単に集めることもできる、ということも知りました。
そして「ケニーのバンドが来るなら、サポートするよ」というオファーをもらえたことがキッカケとなり、インドネシアツアーが決まりました。なお、その時もケニー表が大活躍しましたよ。※ケニー表については、前編を参照
インドネシアは、驚くほど「フレキシブル」
ーーインドネシア全体を通しての印象はいかがでしたか?
ケニー:面白いことの連続でしたよ!到着後すぐに現地のバンドが空港に迎えに来てくれたんですが、それが相当レトロなトヨタ車で…僕たちも含め7人と機材を全部乗せて走ったら、最大速度で50キロまでしか出ない。それでも高速道路に行くのです。
ーー危険な香りがプンプンしています。
ケニー:高速道路に行ったら降りるインターを間違えて、止めて、そのままバックしてもとの道路に戻ったりとか…
ーー…ご無事で何よりです。
ケニー:台湾も日本と比べれば交通事情が激しいと言われますが、インドネシアはさらに混沌としていました(笑)
ーー食事などはいかがでしたか?
ケニー:床に座って、インドネシア式の食事を一緒に食べましたよ。
ーーほかに文化的な違いを感じたことはありますか?
ケニー:「適応力の高さ」を感じました。インドネシアの音楽仲間の家に招いてもらったのだけど、そこにはお湯もない、エアコンもない。トイレにティッシュペーパーもない。そして、部屋の一部に屋根が無いようなところだったのだけど、彼らにとってはそういったことも普通で、「え、屋根が無いけど大丈夫なの?」と聞くと「そうでしょう?ハハハハ~」と笑っている。
ーー突き抜けたたくましさを感じます。音楽文化の面でのギャップはありましたか?
ケニー:それがインドネシア人ってとても熱情(rè qíng)で。
ーー熱情。
ケニー:日本語で言うところの「情熱的で、親切」という意味ですね。とにかく、何から何まで丁寧にケアをしてくれました。たとえば、今回のツアーではインドネシア側で楽器や機材を用意してくれたのですが、スネアやペダルなどの細かいところについて、100%こちらの希望通りのものを用意してくれたのです。
ーー音楽物理力が高いんですね…
ケニー:また、資金面でもケアをしてくれました。ツアーの1日目の会場は、バーのようなところに一段高くなっているステージがある場所へ機材を全て持ち込みだったんです。そのためPAさんの機材レンタル費なども本来は自己負担なのですが…。
インドネシア側が当日僕らのツアーTシャツを作って物販で売って、その売り上げをPAさんの機材レンタル費に充ててくれたんです。
ーーめちゃくちゃ親切ですね…。
(インドネシア側で作ってくれたツアーTシャツ)
「シーンを挙げて若手を育てる」という文化に触れて
(インドネシアツアーでの一枚)
ーー実際のライブを通して、音楽シーンについて感じたことを教えていただけますでしょうか。
ケニー:「シーン全体で若い世代を育てるという文化」があると思いました。というのも今回は2日間ツアーがあって、1日目には8バンド出たのですが、シーンで目立っているバンドだけではなく、高校生のバンドも幅広く出演するのです。その分、持ち時間も3~4曲ほどとなりますが、なにより「より多くの若手にステージに立つチャンスを与えよう!」という確かな意思を感じました。
ーー下の世代の面倒もよく見ているということですね。
ケニー:それから驚いたことがあるんですが、若い世代には経済的な厳しさから楽器が買えない子もいるみたいで、数バンドで楽器をシェアすることもあるそうなんです。
ーー楽器をシェアですか…!
ケニー:ベース、ギター、エフェクターなどを3~4バンドで使いまわすこともあるようです。
ーーなるほど。
ケニー:それから、有名なバンドもとても謙虚なんです。
ーー謙虚。
ケニー:かなりシーンでも名が売れていて、演奏技術も高いバンドへ「すごいですね!」と言うと「いやいやそんなことないですよ…」みたいな答えが返ってくる。それもただの謙遜というわけではなく、本当にそう思っている様子なんです。
ーーやりやすそう。
ケニー:それから、ライブ前から楽屋からステージに機材を運ぶのを手伝ってくれたんです。僕らのステージが終わったあとも、片付けなども引き受けてくれて。「はやくお客さんと一緒に写真を撮ってください!」と、たくさん気遣ってくれました。
ーー本質的に「相手のためになることをしよう」という思いやりがあるんですね。
ケニー:また、ツアーの2日目が終わってからも、メディアの取材をしてもらったり、翌年のインドネシアのグランジフェスに誘ってもらえたりなど…。僕たちがたまたま運が良かったのかもしれませんが、本当に良い扱いをしてもらえている…と感じました。
ーー実際に足を運んだからこそ得るものも大きかったわけですね。
ケニー:そうですね。もしこれからアジアへ進出したいバンドがいるなら、現地の方と交流すればきっと次につながる財産ができると思います。もちろん、色々なショックもあるかもしれないけれど(笑)、それも含めて良い刺激になりますよ。
ーー最後に、これまでに台湾・日本・アメリカ・インドネシアと各国でさまざまな経験を積んできたケニーさんですが、次なる野望などはあるのでしょうか?
ケニー:オファーがあっても無くても、これまでに行ったことがない国・新しいものに挑戦したいと思います。日本から台湾がどう見えているかはわからないけれど、ここで生きる僕たちにとって、台湾は狭いし、小さい国だから「いつもと同じ」に陥りやすい。僕にとって音楽は趣味だけれど、だから、自分の時間とお金を使っていく本気の趣味です。音楽と一緒に人生を広げていく気持ちで、もっと新しいものを取り込みながら歩んでいきたいと思います。
ーーたくさんお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!また、台湾でお会いしましょう。
【編集後記】
いかがでしょうか。今回は前編・後編にわたり、台湾のケニーさんへ、「台湾と海外のシーンの交流」にまつわる情報について、詳しくお聞きしていきました。
海外とのコミュニケーションを通して、「日本のバンドとのツアーは楽しすぎた」「アメリカで感動した」「インドネシア人は熱情だ」とケニーさんは他国をリスペクトし、よかったところにフォーカスを当ててひたすら語ります。
しかし、皆さんはお気づきでしょうか?もともとは「台湾と日本の架け橋になりたい!」と、自らすすんで通訳、ツアー手配を引き受け、それらを「友情だから」と言い切る面倒見の良さから、すべてははじまっていることを。(私もケニーさんにはめちゃくちゃお世話になっております…!)
私は日本人として、これから、アジアとどのように交流し、どれほど相手のためになる行動ができるのだろう…?と、深く考えさせられました。皆さんは、いかがでしょうか?
それでは、皆さん良いお年をお過ごしください!明年見!
ライター/執筆者 ぐーちゃん(Twitter)
(PR)LINEスタンプ「小人と黒ねこ」by noa and fran
こんにちは!タピレコの中の人です。お読みいただきありがとうございました!
さてさて、最後に、僭越ながら、身内の作ったLINEスタンプをご紹介させてください…!
それは…!デデン!
「小人と黒ねこ by noa and fran」です!
こちらは、元・大手銀行出身、現在英国在住の義姉が作ったLINEスタンプです。
私は普段、それほどスタンプにこだわりがなく(正直、どれを使っても同じじゃんと思っている。笑)友人のおすすめに従うタイプなのですが…!笑
この「小人と黒ねこ」には、明らかに、良いところがあります!
それは、語尾がです・ます調のものもあるため、目上の方へ送るスタンプとして使い勝手がいいところです。
たとえばコレ!
普通のスタンプならば、「OK」「NO」のところ、「小人と黒ねこ」では「OKです」「NOです」と言ってくれてるので、目上の方とのやりとりにも迷いなく使えるところがありがたいです。笑
そういうところが、細かいところまでいつも目をかけてくれる、元大手銀行員の義姉ならではのセンスだなぁって感じます。
ちなみに、偶然にも、中華圏・イギリス・フランス・ベルギーなどで、「黒ねこ」は、幸運と富の証として扱われています。そして、中華圏では、「赤」は縁起のよいカラーなんですよ♡
スタンプは全部で40種類。全体像はこちらになります。シンプルながら手の込んでいるデザインなのです!
(ピンクで囲ったところが、私のおすすめです)
目上の方にも迷いなく使える内容が満載で、なおかつ縁起も良いLINEスタンプを日常にとりいれて、ぜひ楽しいひとときをお過ごしください♡みなさんにも幸運が舞い込んできますように~!
それでは、またお会いしましょう!再見!