「私の名前を呼んで そうすれば孤独から解放される」
(說出我的名字 讓我能解放孤寂)
--「說出我的名字」Tizzy bac
台湾を代表するピアノ・ロックバンド、Tizzy Bac(ティジー・バック)が、結成26年目にして届ける第8作目のフルアルバム『說出我的名字(Say My Name)』。それは、長い旅路を経て辿り着いた、心の奥深くを震わせる、自己との再会の物語。
記憶、孤独、再生をめぐる──「名前」が持つ魔法
本作は、アイデンティティの喪失や孤独、そして“呼びかけ”による再生を描いたコンセプチュアルなアルバム。日々の中で得た雑多で人間味あふれるインスピレーションを織り交ぜながら、言葉にしきれない感情を音楽へと昇華していく。
サウンド面では、ピアノ・ロックを軸にしつつ、ハードロックの骨格にUKロックの装いを纏わせた重厚かつ立体的なアレンジが印象的。プロデューサーには台湾の音楽賞“三金”に盧律銘(Lu Luming)、ミキシングにはRadioheadなどを手がけた英・グラミー賞ノミネートのMikko Gordonを迎え、グローバル基準のサウンドスケープを構築している。
この作品は、バンドが長年育んできた鋼のような絆と、ツアー中のロードムービーのような生活、その中で触れた何気ない日常、そして人間らしさのすべてを音に変えたもの。くだらない雑談や、文庫本の貸し借り、旅先のささやかな観察——それらの小さな火種が、今作の温度となっている。一見、奇妙で自由奔放に見える物語も、実は自己対話や深い考察の層を重ねたものであり、それが聴く人の共感を呼び起こす作品となっているという。
生而為人,我們必當破碎,但因為你呼喊著我的名字,
心心念念不曾遺忘,我就能撿起自己的碎片,拼湊成昇華且深刻的自已。
「人として生きる以上、私たちは必ず傷つき、壊れてしまう。けれども、あなたが私の名前を呼び続けてくれる限り、私はその破片を拾い集めて、自分自身をより深く、より輝かしいものへと紡ぎ直すことができる。」ーープレスリリースより引用
ハードロックの骨太な衝動と、UKロックの陰影を纏いながら、Tizzy Bacはよりエモーショナルに、よりドラマティックに進化した。音の壁は厚く、叫びは鋭く、そしてどこか切ない。その全てが「あなたの名を呼ぶ」ための呪文のように響く。
『說出我的名字』 - Tizzy Bac
01. 怪盜激不得
影と光、追う者と追われる者。英ロック×探偵映画のような緊迫感で幕を開ける、壮大なイントロダクション。
02. 狂戀
西部劇のバーに流れるようなブルージーなラブソング。荒々しさの中に剥き出しの愛。
03. 寂寞公子,有何貴幹
孤独を愛してしまった者たちの都市伝説。跳ねるビートに寂しさが滲む。
04. 失去做夢能力的人們
夢を見る力を失った人々に捧ぐ、ポストロック仕立ての祈り。重く、静かに、夜を裂く。
05. 朝我心臟開槍
60〜70年代のブリット・ロックの香りを纏いながら、"独りでも私は星だ"と静かに闘う一曲。
06. 矛盾仔の春天
恋の駆け引きを描いた軽やかなポップソング。笑って泣けるラブストーリー。
07. 深夜停車場裡忘了關大燈的SAAB 900
ピアノとドラムだけのミニマル編成で描かれる、忘れられた灯と心の残響。
08. 說出我的名字
アルバムの核となる一曲。名前を呼ぶことで始まる救いの物語。壮大なエピック・ロックに心が溶ける。
09. 不朽的野獸們
人はただの動物ではない、不朽の存在になれるという叫び。光を求めて走る。
10. 馬男之歌
すべての虚無と希望を受け入れる、静かな最終章。ピアノの音だけが優しく背中を押す。
11. 愛的多重宇宙(Bonus)
幾億の並行宇宙を越えても、あなたを愛し続けるという選択。静かで、強く、美しい余韻。
「名前を呼ばれる」——それは、忘れていた自分を取り戻す魔法。
Tizzy Bacの26年が詰まったこのアルバムは、あなたの心に確かに名前を刻む。